第四話 トイレの花子さん 2

 放課後になって僕はすぐに学校を出た。

 5分ほど歩いたところに大きな病院があるそこに渚はいるはずだ。


 病院に着いたのはいいのだけど。大きすぎる。どうやって探そうかな?とりあえず受付で聞いてみよう。

「すいません。この病院に冬野 渚という人は入院していませんか?」

「あの〜、あなたはその方とどういった関係ですか?」

「友達です」

「分かりました。探してみますね」

 そう言って受付の人はパソコンで探してくれた。

「すいません。今家族以外の方は、会えない状態でして、また別の機会に来てみてください」

「はい。ありがとうございます」

 ということはまだ渚は意識がないままということか。仕方ない、1人で行くしかないか。

 僕は明日旧棟の1階のトイレに行ってみることにした。


 今日は金曜日だと言うのに憂鬱だ。理由は、"トイレの花子さん"の所に行くからだ。

「なにか持っていった方がいい物とかあるかな?」

 そうだ!完全にトイレに入らなければいいんだ!簡単じゃないか!もし渚に何かあると心配だから早く"トイレの花子さん"を、見つけないといけない。


 昼休み


 僕は旧棟の1階のトイレの前にいる。いざ来てみると少し怖い。足が震える。けれど、"トイレの花子さん"をどうにかできるのは僕だけだ!

 震える足を1歩づつトイレの中に入れていく。見た感じほかのほかのトイレと、違う所はトイレの綺麗さだけだった。あまり掃除がされていないからか、結構臭い。

 "トイレの花子さん"が出るとしたら恐らく個室の方だ。だから個室の方に入ってみた。扉は閉まらないように手で押えておく。

「なんだ、なんも無いじゃないかよ」

 !?

 扉がいきなり動き出した。

 やばい!そう思った時には遅かった。扉は勢い良く閉まってしまった。

 ガチャガチャ、ドンッ ドン ドン!!!

 クソッ開かない。

 バンッ

 背後から何かがあたる音がしたので反射的に振り返ると、閉まっていたはずのトイレの便座が開いていた。

 ここから"トイレの花子さん"が出てくるのか?来るなら来いよ。

 僕がトイレを見つめていると肩を誰かに触られた。後ろを振り返るが誰もいない。まさかと思い天井を見てみると、そこには髪の長くて顔の見えないやつが換気扇の穴から体を出して僕の肩を掴んでいた。恐らくこいつが"トイレの花子さん"だろう。

 普通、誰でも"トイレの花子さん"はトイレから出てくると思うだろ!?

 花子さんは僕の肩を掴む強さを強めて引っ張ってきた。

 しかし、僕も負けじと花子さんを引っ張った。

「魂よこせ」

 なに!?こいつ怖っ。

 けれど次の瞬間、花子さんは換気扇の穴からすっぽり抜けてしまった。

「今だ!」

 僕は制服のベルトで花子さんの腕と体を縛り付けた。

「花子さん今までなぜたくさんの人を襲った?」

「私は、4年前にここで大好きだった人に殺されたの。けれど彼の親は警察とつるんでいて、外に出た情報は『私が行方不明になった』ということだけだったの。私の遺体は彼が私を殺してそのままこの換気扇の中に入れて放置したの。けれど私の裏切られた時の復讐心が、暴走してこのトイレの中だけでは生きることができるの」

「なぜさっき僕の魂を取ろうとした?」

「私はこのトイレの中でしか生きていけない。外に出るには魂がいる。だからこのトイレに来た人の魂を取ろうとしたの。けれどなかなか上手くいかなくて取ることが出来なかったの」

「なるほど。無理に魂を取ろうとしたから取られそうになった人は意識が無くなったということが?」

「多分そうだと思う。けれど悪いのは彼よ。なんの罪のない私を殺した上に遺体を放置した。絶対に許さない!殺す!殺す コロす コロシテヤル」

 突如花子さんの目が赤く光り、花子さんの力はいきなり強くなり拘束を解いてしまった。そのまま僕の腹を、拳で貫いた。

「グッ、」

 血が止まらないダメだ僕は死ぬ。こんなはずじゃ、死にたくない、死にたく、な、、い、、、


「ー 人さん。西野 秋人さん。」

「ハッ、」

 見たことない真っ白な天井。

 ここ、はどこ?あれ、俺は、、、

 そうだ。花子さんに腹を貫かれたのだった。あれ?全然痛みがない。

「西野 秋人さん。あなたは先程お腹を貫かれて死にました」

「やっぱりそうか。ところであなたは誰ですか?」

「私はこの世の死者を導く者です。死者が生前に行ったことをもとに『生まれ変わらせる』か『別の世界に転生させる』かを、決めています。"神"の1歩手前の存在です。」

"神"の1歩手前?なんか、凄そうだな。

「僕を、生まれ変わらせるのか、別世界に転生させるのかどっちなんだ?」

「その事なんですが、あなたが"トイレの花子さん"と呼ぶ者は殺されたのにもかかわらずあのトイレの中で生きています。本来あなたはあそこで死ぬ予定ではなかったのです。だからあなたを生き返らせます」

「え!そんなことが出来るのか!?」

「はい。その代わり西野 秋人さん。あなたにしてもらいたいことがあります」

 してもらいたいこと?

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