第23話 特撃完了
竜騎兵〈ゲフォルス〉が投擲した『最大火力』を悠々と迎撃した後、複数回にもわたる閃光を怪獣は放ち、爆炎と火災の範囲を団地の外、森まで広げた。そうして立ち上る黒煙で晴天を焦がし、漸く怪獣はいなくなった。
汚染塗れになり、近寄れなくなった〈ダダバ第三集合団地〉を遠くの空から竜騎兵〈ゲフォルス〉は見ていたが、やがてドラゴンに指示を出し、そこから離れる選択をした。
ドラゴン二体による攻撃による怪獣の閃光の誘発。それによる消耗を狙っての〈爆撃〉は、かねてより作戦本部、およびオーク達の考える最も有効な怪獣への攻撃だった。
しかし、あれだけ閃光を吐いてなお、怪獣に消耗の概念は通用しないらしい。それどころか、堰を切ったように閃光を放ち、どんどん被害を広げていった。周囲十キロメートル以上が立ち入り禁止区域になるだろう。
だが、すべては怪獣のせい。別に世論が軍への批判に向かうことはないだろう。〈爆撃〉を行った事実すら隠蔽される。
怪獣への有効打は、これからもオークの課題になるだろう。
事態への冷静な判断と、燃え滾る怒りを抱きつつ、〈ゲフォルス〉は延焼が続く大地と青空の広がるその土地を後にする。
そのうちまた、暗雲がその土地に戻るだろう。だが、それでも、怪獣の汚染にまみれ、無数の瓦礫に覆われたこの地に、魔族が町を作ることは二度とないであろう。
――異界の新天地『ダダバ第三集合団地』特撃完了。
ただ、誰もいなくなった大地だけが、怪獣の雄叫びを覚えている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます