第11話 【特報】

『映画といえば、太宝』


[太宝株式会社]


 映像:巨大な灯台と肩を並べ、その明かりより輝く瞳。蜥蜴のような、耳まで避けた顎を大きく開き、叫ぶ。


怪獣の叫び声

「ぎいいいいいいいん!」


『化学怪獣ラジュード』予告編


ナレーション

「1968年、日本。経済成長の陰で隠された暗黒が、今、暴かれる」


映像:煙を吐き出す工場、汚染された川、病院で咳をする子供達。


ナレーション

「産業の発展に伴う公害。空気と水が汚され、人々の生活が脅かされている」


映像:コンクリートで舗装された、ゆっくり流れる川の中。異様に黒ずんだ、水中から姿を現す巨大な瞳。汚泥と重油にまみれた手足が次々と川岸に突き立てる、その本体をゆっくりと持ち上げる。廃水だらけの体は、見る者に恐怖を与える。吼える犬、鼻を抑え込む大人や子供。


ナレーション

「そして、その闇から生まれた怪獣ラジュード! 人々の驕りが形となったその姿は、都市を破壊し、無差別に襲いかかる!」


映像:逃げ惑う人々、怪獣の肩に触れて破壊されるビル。爆発した建物から広がる炎は次々と民家を巻き込んで延焼する。直立二足歩行で、通天閣と並んだかと思うと、油で汚れた爪をふるって薙ぎ払う。圧し折れた通天閣は、アスファルトを粉砕して大阪の街を蹂躙する。その傍で、顔の割れた食い倒れ人形が倒れている。そこに、怪獣から飛び散った汚泥が降り注いだ。


ナレーション

「恐怖と混乱の中、政府と科学者たちは立ち向かう方法を模索する」


映像:ラボで研究を進める科学者たち、会議室で議論する政府官僚たち。


ナレーション

「彼らの希望は一人の科学者に託された。彼の名は、五行博士」


映像:五行博士(演:平井明二)が決意の表情で立ち上がる。


五行博士

「怪獣を産んだのは、我々人類だ。そのことを忘れてはならない」


映像:五行博士が開発した新兵器、実験室での緊張感あふれるシーン。


ナレーション

「科学の力と人々の希望が交錯する中、ラジュードとの最終決戦が幕を開ける!」


映像:夜の都市、霞が関を蹂躙し、その先には国会議事堂がある。それに立ち向かう六両の戦車。それぞれが火を噴く。


ナレーション

「果たして、人類は公害の象徴『ラジュード』を倒し、未来を取り戻すことができるのか?」


映像:爆発するビル、逃げ惑う人々、五行博士の決意の表情。


『化学怪獣ラジュード』


ナレーション

「人類の反撃が今、始まる……」


『1968.10.2』


ナレーション

「劇場公開!」


クレジット

 監督/中屋修一

 演/鹿島十郎 海沢梅 平井明二……

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