領地と側近

「まずは領地だけど、これは君が転生する星からランダムな陣地が3つ選出されるから。そこから選んでね。」


「場所も、広さも、全然違うな。・・・実質一つだけだろう。これ。」


「一つあるだけでも運いい方だよ。」


 領地

 一、前世で言うアメリカ並の広さが特徴の領地である。それ以外は海に囲まれておらず、大陸の中心部、平地が多く、農業に適していそうな領地である。


 まず、これはない。

 初心者、都市開発で無駄に広い土地なんて外敵に侵入されて終わりの未来しか見えない上、山々も少なく、砦など築かないと防衛がままならない。

 領地にいる人種が領民になるとあるが、多種族すぎて内部分裂不可避、この肉体なら即反乱すらあり得る状況になるので、この中で1番の好条件に見えて、一番なしの土地である、


二、火山地帯の島々。

 海に囲まれている上に火山が無数にあるこの海域と島々を序盤で、攻めてくるバカも、この自然の要塞を攻め落とす戦力も、奪うほど旨みもないこの土地ならゆっくり内政は出来るが、住民がいない、食料もないとないないづくしという問題があるが、この土地の1番の問題はこの島々や海域に竜の巣が数多くあるという危険地帯である事だった。

 プライドの高いと説明がある竜が此方がいきなり所有権を主張しても従ってくれるはずもないのでいきなり、竜との土地争いである。

 やりようはあるらしいが、これも初心者には難しい。


三、巨大な塩湖とその中心にある東京都並の島。

 これが一番マシである。

 塩湖から隆起して出来た島の為、土壌が塩で汚染させている為。農業には向かず、高濃度の塩分によって水中には魚などが生きていないという自給自足が不可能に思える大問題のある土地。

 その代わり、渡り鳥などは外敵がいないとして休憩しにやってくるという鳥達のバカンス場として機能していた。

 これが一番マシな理由は外敵がいない点である。

 この塩湖、かなり昔から存在している上にこの島以外にも塩湖に面している土地を広く塩で侵しているので、他の駒達がこの土地を選ぶ可能性は低い。

 強い魔物など人類の害になる生物もこの島、湖には存在しない。

 渡ってくる鳥は皆、他の土地より安全な部類の種しかいなかった。

 土壌改良など問題も山積みだが、それを解消していく時間が他より多い判断したのである。

 よって、選ぶ領土はこれ一択だった。


「いや〜良い土地が見つかった事だし、次は君の側近を三人選ぼうか。まずはこのガチャを3回回してみて。」


「凄いレトロだな。」


 グラが出したのは昔懐かしなガチャガチャだった。

 駄菓子屋の前にあっても違和感のない汚れたガチャガチャを少し触ってみると手に何もつかず、この汚れはレトロ感を出す為の模様である事が分かった。

 そして、恐る恐る3回回してみると、虹一つ、金二つ出てきた。


「おぉ!運いいね!特に虹なんてそうそう当たらないんだよ。」


「そうなのか?・・・まぁ、見た目当たり感がすごいけど。」


 太はガチャガチャで当てたカプセルを開けてみるとそこには虹色のカプセルからはEXと金色のカプセルからはXRと書かれた札が入っていた。


「それは引き換え券みたいなものだよ。側近というか、これから部下にする連中、駒の駒にはランクがあるんだ。EXはその中の最上級のランク、XRはその下のランクだよ。それをこのカタログから選ぶ感じかな。・・・あぁ、カタログには種族でソートしたり、その種族の説明もついているから読んでみると良いよ。」


「多種多様だな・・・レビューまで書いてある。・・・此処にレビューする奴は性欲の権化ばかりか?エロい、綺麗、可愛いしかないんだが、もっと有用な情報をくれ。」


「有用な情報をこんな形で他者に教える訳ないでしょう。」


 カタログを見ているとある事に気がついた。

 光っている箇所と暗くなっている箇所があり、大多数はなにもなっているものである。

 グラが聞いてみたところ、これはカタログに載っている方も契約者を見ているようでこの光っているのは自分を選んでと面接を望んでいると言うものだった。

 逆に暗なっているのは今、他の誰かに面接を望んでいるというものだった。

 自分に面接を望んでいるのは一人だった。


「・・・・・・この数字はコイツがほしいと面接待ちしている数だよな。」


「そうだね。・・・多いね。EXが当たる人が少ない事を考えたら、多すぎるくらいさ。」


「そりゃ、こんな高スペックな奴誰だってほしいだろう。」


 種族名戦乙女ヴァルキュリャ

 名 ホロ・サタニア

 魔法と神秘が存在する世界出身。

 その世界で初の女性元帥になる程の豪傑であり、戦場では無敗無傷で人生を終えるという軍人ながらベットの上で老衰で亡くなった最強乙女である。

 武力だけではなく、学問、統率力も優れるパーフェクトウーマンであり、何でもこなせる天才肌、出来ない事はないと言われている。

 その圧倒的な功績から死後、武神として祭り上げられている。

 その信仰から戦乙女として転生したのである。

 戦乙女になった後もその才能と総合能力を活かして戦乙女の騎士団で騎士団長に最年少で就任と生前、死後ともに順風満帆な人生を送っている。

 そんなEXの中でもトップクラスの実力を有している実力者であり、引く手数多になるのも頷ける実力をしていた。


「じゃあこの子は決定かな。」


「いや・・・面接はするよ。・・・役立つか分からないしね。」


「そうじゃあ繋げるよ。あっちはもう面接を受ける準備が済んでるみたいだから。」


「用意が良いな・・・ちょっと待って。会う姿は転生後にしてくれ。」


「・・・あぁ、そう言うことね。分かったよ。」


 グラが魔法陣みたいのを太の足元に展開すると、ドス黒い粘性の光に包まれると次の瞬間、神聖な一室のソファーに座っていた。

 太の身体は重く鈍くあったが、不思議と不健康さは感じなかった。これがデフォでデブという事かと感じていながら、面接対象を見ていた。

 写真ではなく実物と見ると皆が欲しがるのも更に納得がいくほどの存在感と肉体美をしていた。

 本当に種族としては同じ人間かと疑いたくなる程に洗練された肉体と精神をしていた。

 今もSAN値が削れている事に実感しているだろうに全く動じる事なく笑みを浮かべていた。

 その顔には嫌悪感は伺えず、取り繕っている感じもしなかった。ごく自然な笑みを浮かべながら瞬き一つせずこちらを見つめていた。

 そんな時間が1分経過した。


「これから宜しく。」


「はい、此方こそ宜しくお願い致します。我が主人《あるじ》よ。」


 これにて面接は終了。

 太はまた黒い光に包まれるとグラの元に帰って来ていた。


「さてと、後二人を決めますか。」


「・・・どうだったの彼女?」


「合格だよ。精神の受け流し方まで一流だったよ。さすがって感じだね。あの性能にまで付くんだから。誰も欲しいだろうね。」


 まぁ、及第点ってところだけどね。と思いながら次の側近を決めることに気持ちを切り替えた太だった。

 

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