堕ちる、はいあがる

木造アパート、よくある古い建築物。

やっと見つけた……捜すのに

どれだけ時間を費やしたことか。

インターホンを鳴らすと懐かしい

か細い小鳥さえずる声で

『はい?』と返事が聞こえる。

私は「迎えに来た。いっしょに帰ろう」

とマイク越しにつぶやく。

玄関扉が開き「あちゃー早かったね、かっちゃん」天使のような微笑みを浮かべ、

私が愛した彼女は昔と変わらず

紅の瞳を煌めかせる。


□◆□□□


私は両親から敷かれる道を、問題なく

進んでいた。恋愛とか友情も後回しに

ひたすら勉学、研究者や公務員どちらか

進む予定だった。なぜか教師へと進み、

気づけば板についてしまった。

お見合いを何度か繰り返したが……イマイチしっくりこず、そして。

「あっ黒神先生、荷物運び手伝いますよ」見目麗しい"性"の概念など破壊する

繊細で、男子学生の制服に着こなすが

触れば壊れそうな日本人形にしか

見えない可憐な美少女──

「ぼくはジュン、黒神先生が担当クラスにいる教え子です」


ジュンと出逢った。それがすべての始まり。自然と、いやっすべてが必然なのだろう。私は彼女のすべてに魅力された。

幼く華が咲いた笑顔、つぶらな紅い瞳、

細身だが引き締まるところは引き締まった

しなやかな肢体。

私は愛でた、彼女の全身を味わうように。

教師と生徒、許されないのは百も承知だ……それでも。

「かっちゃん、みてみて。小指で逆立ち、しかも右手だけ」

私は彼女と添い遂げたい、そう願った。

このまま……彼女といっしょに消えたいまで考えていだ。だけど──

「へっへへへっへ、桂子先生ぇ」

あの女グセが悪い、担当クラスの男子生徒鷲原一真に私と彼女の用具室での行為が

盗撮されてしまった。

「なぁ……桂子先生、これまずくない?

ヤバくない? ダメでしょ~~」

私の尻を鷲掴み、汚い顔を寄せてくる

鷲原。私は……彼女を守るために

その身を捧げた。やつの不良仲間も含め、私は身体をもて遊ばれることに。

お尻まで使われる経験は……のちに

彼女を調教するときの参考になった。

変態的な行為は、私に彼女を同じ目に

合わせたいという邪な感情を抱かせてしまう。さらには「最近、ペット買ってるんだー。いきなり襲ってきたから、両四肢を

砕いちゃったんだけど」ついに彼女は

鷲原に襲撃された、だが返り討ちに。

しかもペットとして飼い慣らしてると

聞いた瞬間、私の中になんとも言えない

嫉妬の炎が沸き上がる。

居酒屋でやけ酒あおりつつ、どうすれば

彼女を独り占めできるのか悩んでると

"あなたを性奴隷扱いしてるのを

抹殺すれば速い"

澄んだ綺麗な声が頭に響く。

その声は、彼女の産み母を名乗り

私に入念な計画を説明した。

信用できるのか、別にして

私には都合よかったから

大船に乗るつもりで、従うことに。

まずはマザコンとドSを身体を使い

柔軟。次に口は悪いが私を横恋慕するのを

味方に、鷲原の女性関係を洗いざらい調べあげた。次はカップルを振り分け、彼氏の方に情報を流していく。

ヤツが関係を持った女性たちには

ありもしない事を刷り込み、憎悪を

強めさせた。

「いや、ペット解放したよ。もう

親犬の元へ帰れそうだったから」

彼女の言葉に、私は遂に動くことを決めた。


######


燃え盛る小屋を背後に白い頬と

滑らかな肌を、煤に汚れた彼女が

「なんでこんな真似を……」

珍しく心配そうに私を見つめる

彼女にすこしだけ、経緯を説明した。

瞳を潤ませ、眉を潜め「処理しとけばよかった」ぼやく

彼女に、私はもう大丈夫と言い特性麻酔を

折れそうな首筋に突き刺す。

「かっちゃん……」

「子供を作ろう。これからいっしょにいられる──」

「滅ぶまで」

私はやっと、彼女を手に入れた


%%%%%%%


「めちゃ甘い緑茶とミルクコーヒー、どっちにする?」

エプロンに合う桃色のカーディガン、褪せたジーンズを

着こなす彼女に「両方いただこう」返答した。

愛の巣である四LDKのマンション一室よりも寂れた部屋で私達は向き合う。

「さぁ、話を聞こうか」

今後のことを決めるため。

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