青の章 1話目「絶体絶命」
「!?」
まず、感じられたのは激しい突風に全身が殴りつけられてるかのような感覚。
次に青空が目に映った。
雲ひとつなく、どこまでも澄んだ青色の空。
地平線の果てまで広がっているのではないだろうかと錯覚してしまうほどにその空は大きく、己の視界を青で埋め尽くしていた。
あの空の向こうには何があるのだろうか?
暢気にそんなことを思った次の瞬間に感じられたのは。
激しい浮遊感。
改め、落下している感覚が全身から感じられた。
・・・どうしてこうなってしまったのだろうか。
こうなるまでに誰かと何か重要なことを話していたような気もするが、今はそれどころではない。
眼下には一面に緑色の光景があるだけだ。
詳しくはわからないがおそらくはどこかの森だろう。
そこまでわかったところでもう己にできることはない。
このまま落ち続け、大地と激突するのを待つ他ないのだ。
・・・
空からどんどん遠く離れてゆく。
逆に眼下の大地は落下するスピードへ合わせて近付きつつある。
生存本能からか心臓は聞いたこともないほどの早鐘を打ち、頭の中は恐怖の色で埋め尽くされていた。
嗚呼、もう目と鼻の先には広大な森がある。
気付いた時にはあれだけ遠かった眼下の景色とも簡単に触れ合えてしまえるほどの距離まで迫ってきている。
嗚呼、せめて苦しむことなくこの触れ合いの機会を終わらせられるといいのだが。
そうして自分は全神経を集中させて目を閉じ、どこか懐かしさが感じられる暗闇の空間へと現実逃避を果たすのであった。
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