久しぶりの店【BRIDE】に訪れた雅也

 店のウインドーを覗くと志乃舞も透子も麻美も俺がいなくても

ちゃんと仕事をこなしていた。


俺が今までスタッフ達に頼りきっていたのか。


改めてこうやって見ると、3人とも成長しているんだなと

雅也は少し嬉しくなっていた。


麻美と透子が対応していた客が出て来た。


俺は帽子を深く被り、咄嗟に背中を向ける。


「ありがとうございました」


麻美も透子も俺には気づいていない様子だった。


「あ、それじゃ2人とも先にお昼に行って。店は私が留守番しとくから」

「はい」

「志乃舞さん、お先にです」


麻美と透子が出て来た。


「お昼、何食べようか?」

「あ、私、オムライス食べたい」

「じゃ、この先のレストランでも行く?」

「いいね」

「そう言えば、今日も店長来なかったね。なんか、あったのかな」

「店長、前にもかなり休んでいたことがあったから、

そのうち来るわよ。気まぐれ店長だがら」

並んで歩く麻美と透子の背中が遠くなるまで雅也は見つめていた。


透子…。麻美…。ごめん…。


ーーーチリリリ―ンーーー


俺は店内に入って行った。


「いらっしゃいませ」


雑用をしていた志乃舞が顔を上げる。

志乃舞の目に雅也の顔が映った。

「店長…」

「久しぶり」

「どうしたんですか、そのケガ」

「ちょっと事故って」

「え、大丈夫ですか?」

「まあ、何とかね。俺がいない間、迷惑かけたな」

「……そんなこと、、、、、」

「迷惑ついでに俺の話を少し聞いてくれるかい」

「え…はい…」


雅也は俯き加減で横を向いた――――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る