――それから3日後……

 俺の店に武人と汐里さんが来店して来たのは、それから3日後の事だった。


――チリリリ―ン――


店の自動ドアにつけられた風鈴が鳴った。


お客さんが来店して来れば、風鈴の爽やかな音色が店内に響き渡り、

奥の部屋で仕事をしていてもすぐにわかる仕組みになっている。


『いらっしゃいませ』


武人と汐里が並んで来店して来た。


武人が店内を見渡すと、雅也の姿はなく、透子も麻美も他の客の相手を

していた為、武人が近くにいた志乃舞に声をかける。

『すみません。谷口雅也さんいますか?』

『はい、店長ですね。少々、お待ちください』


志乃舞は奥の部屋へと入って行く。



志乃舞が奥の部屋に入ると、雅也はエンゲージリングの仕上げ作業をしていた。

志乃舞は雅也に近づくと、『店長、お客さんです』と耳元でそっと囁いた。

『誰?』

『篠宮さんです』

武人…。

『わかった』

雅也は作業を途中で中断し席を立つ。

『篠宮さん、彼女と一緒でしたよ 』

志乃舞は再び雅也の耳元で呟く。

『え?』

心の中は動揺していた。だが、仕事とプライベートは別ものだ。

こう見えて一応、俺も職人プロの一人だ。


気持ちを切り替えて俺は店内の方へと足を向けて進んで行く。

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