雅也の自宅マンションにて~妄想~

 俺は自宅マンションへ帰ると、すぐさま寝室に向かった。

武人と食事をしている時からずっと俺の下半身がムズムズ

していたからだ。俺は武人に気づかれないようにずっと

突っ立ったままの下半身を身にまとったオーバーコートで

隠していた。せっかくの武人とのご飯だったのに余計な

邪魔が入った。しかも武人の彼女をの当たりにして、

ゆっくりと酒も飲めなかった。

それに、なんなんだよあのボディコン女は…。

あの忘れたい過去の合コン女を思い出したじゃねーか。

俺の息子は大丈夫だ。守り切った。よくやったよ俺。

あんな女に食べられてたまるか。

これは、いつか武人と……。

でも今は妄想で我慢するよ武人。でも、いつか……しようね。

俺は武人との妄想エッチを思い浮かべながら、顔まで赤く

火照ってきた。

『先にシャワー浴びてこいよ、雅也』

『じゃ、武人、一緒にお風呂入る?』

『ったく、雅也はまだまだ子供だな』

優しく武人は俺の服を脱がせると、その指はズボンのチャックを

下した。俺は武人の長い指先が俺の身体に触れるたびに感じていた。

『あ……ン』

『おまえ…かわいいな。少し触ってもいいか』

『あ…ウン』

『こうすれば、もっと大きくなるんだよ』

武人は手慣れた指先で俺の硬くなった棍棒を撫でまわした。


ああ、気が遠くなりそうだ……


そんな妄想を俺は永遠と続けた。


決して、現実にはあり得ないことだ。あり得ないことだから自由に妄想できる。

周りから見れば俺は変態か……今でいうと、トランスジェンダー……

性同一性障害か……。女という認識は幼い時からあった。

女の子が思春期にでてくる胸にも憧れがあった。だけど、武人に出会って、

他の女よりも もっと近くに…武人の隣にいたくて、ワザと自分の事を『俺』と

呼ぶようになっていた。恋の相談相手でもいい。親友でもいい。それでも俺は

武人と一緒にいたかったんだ。


武人と過ごした時間を大切にしたかった。


世の中には山のような女がいるのに俺は男が好きだ……。

女には反応しないエネルギー根棒も武人が隣にいるだけで反応する。

武人の吐く息で俺は熱くなる。俺がこんなにも武人を求めているのに、

それでも武人は女がいいのだろう……。丸みをおびた女は柔らかくて、

ふわふわしているから気持ちがいいのだろう。

俺が女なら……。もしも俺が女なら、今すぐにでも武人を押し倒して、

武人を俺だけのものにするのにな……。



気づくと、俺はベットの上で全裸になり武人との妄想エッチに一人で

興奮して快楽を楽しんでいた。


武人と会ったその夜は必ず妄想エッチをしている。武人の会話や

仕草を思い出しながら快楽に浸っていた。


ああ、これが現実なら俺はどんなに満たされるだろうか……。


『ああ、武人…愛してるよ』

『俺もだよ、雅也……』


俺は武人が好きだ――……。


この大きな手も…長い指も……


もっと、強く…もっと、もっと強く俺を抱いてくれ……


武人の温もりをもっと、もっと感じていたいんだ。


―――終わった後の濡れたシーツはいつも激しく乱れていた。


妄想ならどんな過激な妄想をしても平気だ。


明日になればまた普通に親友として武人に会えるから……。



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