立ち飲み屋

 立ち飲み屋で俺は武人の彼女の事を聞いた。俺達は焼き鳥と枝豆を

つまみにビールを飲んでいた。まだ、ビール一杯目じゃ酔いも回って

いない時だった。

『雅也、俺さ結婚しようと思うんんだ』

『え 』

その言葉で俺は一気に眠気も吹っ飛んだ。もちろん、俺じゃないよな?

相手は? 誰? 俺の知っている子か?もう、その子とエッチしたの?

そりゃ、武人なら聞くまでもなく当然するよな……。

俺は怖くてそれ以上の事は何も聞けなかった。

『相手は俺が働いている病院の院長の娘だ』

『え?』

武人は俺が聞かなくてもいつも俺が知りたいことを話してくれる。

『へぇ』

俺は半分動揺していた。できるだけ普通に、友達として普通にして

いなきゃいけないのに、


そう、普通にーーー。


『その子のこと好きなの?』

『彼女、病院の経理してて、新年会の時、院長に紹介されたんだ。

彼女は俺の事知ってたみたいだけど、俺は全然知らなくてさ』

『うん』

『俺の事、好きなんだってさ』

『うん』

『なんだよ、さっきから、うん、うんって…』

だってさ、何て答えていいかわかんないんだもん。

『もう、彼女と…したの?』

『…してねー』

え…、意外…

『なんで?』

『わかんねーけど…』

『やっぱ、武人も院長の娘にはなかなか手が出せないのか』

『俺が女遊びしてるって知ってんのに院長も娘も何で俺なの?

って思わねぇ?』

『武人の人柄とか?』

『俺、プライベート、チャランポランだぜ』

知ってるけど。

『いい女見ると、すぐに本能のままホテル行って身体の

付き合いから始めるし』

それも知ってる。



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