第6話
中間テストの始まりは天国の始まりでもあり地獄の始まりでもあると誰が言いだした言葉だっただろうか。燈かミハルのどちらかが言っていたような気がする。そう言われる理由はおおよそ毎日4教科ずつテストを受ける代わりに午前で学校が終わるからだと言うのは二重の意味で理解出来る。
そんな天国と地獄の中間テスト二日目だった今日。
4教科目のテストが終わってみんなソワソワしながら担任の話が終わるのを待っていた。なんなら早く終われと言う空気を出していた。
だが、担任はそんなことは気にすることなく我が道を行く人で、あれこれ話している。
そうして、担任が話している間に他のクラスはHRが終わったらしく、廊下が騒がしいし俺達のクラスのドアの向こうでまだ終わってないのと動きだけで煽ってくる。
それを羨ましげに恨めしげに眺めて早く終われと祈っていると伝わったのか、午後は勉強に励む時間にしろやら今日もゲーセンに見回りに行くぞと特定の誰かに宛てた、本当の本当に誰かはわからないが、俺とシマがいる窓際とミハルと燈がいる廊下側を釘を刺す様に睨みながら忠告を最後にして担任は帰りのHRを終わらせた。その忠告を俺達は右から左に聞き流し、担任の視線もサッと視線が合わないように目を逸らしてやり過ごした。
担任が教室からいなくなるのを見送ると教室の静けさが小さな騒めきに変わりその声は次第に大きくなって騒がしさに変わっていった。
俺達もすぐにその騒がしさの中に加わった。
「よっっっし」
「宿題なし!!」
「部活なし!」
「午後授業なし」
「ってことはー?」
「ゲーセン行くべ」
テストを受ける為に廊下に置いていた鞄の元へと四人で向かう。少し時間を置いたからか廊下に人はあまり残っていなかった。
それもそうだろう。
クラスメイトは午前で学校が終わるとなると我先にと教室を出て帰って行った。
その姿はテレビで見た通勤ラッシュの様で危ないし、そんなに急いで帰らなくても午後が休みなのは変わらないのにと心に余裕のある大人な俺達は動かずその場に止まり話をしながら時間を潰して人がいなくなるのを待った。まぁ、一人だけ渋ってる奴がいたが燈に相手にされなかったのと、可愛い可愛い彼女に腕を絡めとられ引っ張られて教室の外へと連れ出されて行った。
自分の鞄の元へとくると、まずしたのがスマホを取り出して電源をつけることだった。
他三人も同じ事をしていて、それに気づいた俺達は少しツボに入り顔を見合わせて笑った。スマホを見て特に何の連絡もない事を確認した俺達はスマホをポケットにしまい、鞄を背負って立ち上がり歩き出した。
目指すは学校から少し遠いゲーセンだ。
一人ならげんなりとする距離だが、会話しながら歩けば疲れもあまり感じずに目的地に早く着いた気になるから俺は意外と嫌いじゃなかった。
「ゲーセンまでは……」
「いつも通り歩き、だな」
「よし!さっさと行くべ!」
「だな。ここでウダウダしてたら時間が勿体ない」
「歩きぃ……」
「燈は体力ないもんな」
「じゃあ、ゲーセンまでの道のりを体力増強出来る!って思えばいい!」
「嫌だぁ……。体力なんていらない……そんなの無くても生きていける……」
「体育祭、近いぞ」
「俺がスタメンになる訳ないだろ!」
「「確かに」」
「わっかんないよー!体育祭の日までにムキムキになるかも!」
「燈が……」
「ムキムキ……」
ミハルの言葉でつい想像してしまう。
筋肉がついてガチムチになってしまった燈を。
小さい顔にモヤシの様な細さと白さの身体から大木の様に太くなりマッスルポーズを決める燈を脳内で想像する。
身体は太く育ったのに顔は元のサイズのままチグハグとなったその姿にゾッとした。
慌てて燈の両肩を掴み、説得を試みた。
そんな俺の行動に目を見開いて驚いてる燈と目を合わせながら話しかけた。
「燈、早まるな。お前はそのままがいい」
「お、おぅ?」
「そのままモヤシの様に元気に育ってくれ」
「……ん?あー、なるほどね……、殺されたいんだ?」
「及川、何を想像したん?」
「でも、燈って細いよね!ちゃんと食べてる?」
「食べてるし!ただ、……好き嫌いが多いのと……時々、ゲームしてると飯食うの忘れることが、ある」
「わかる」
「非常にわかる」
「え?わっかんな!」
「嘘だろ」
「だって、ずっと食べながらゲームしてるから!」
「ミハルはよく太んないな」
「そっちの方がスゴいかも」
「痩せの大食らいだよな、お前は」
「へへ、それほどでも~」
「褒めて……るな」
口を動かしながら脚も動かしていれば、いつの間にか目的地のゲーセン前についていた。
思っていた通りに話しながらだとあっという間についたなと謎の達成感を感じて思わずフッと笑った。一人笑う俺を目撃した燈が恐ろしい怪物を見たような顔をしていたから頭を軽く叩いてやった。
俺達のやり取りを見たシマとミハルが吹き出して笑われたから、拗ねたフリして三人より先に昨日ぶりのゲーセンに向かおうと一歩踏み出した時だ。
そんな俺達の前に予期せぬ人物が現れた。
「……燈?」
「……由良」
声のした方を見ると由良とリナがいた。
由良は聞いた時無いくらい冷たい声音で再度燈の名前を呼んだ。
呼ばれた燈は由良の方をゆっくり見るが、目があったその瞬間にビクリと肩を揺らして驚いていた。一体何を見て驚いたのか気になり由良を見ると、機嫌が悪いのか鋭い目つきで燈を睨んでいた。
恐らく燈は今まで一度も由良にそんな目で睨まれた経験が無いのだろう。ちなみに、俺は何度もあるから慣れてる。
だから、驚くのも仕方のない事だ。
一方の俺達、突然修羅場に巻き込まれ笑う事も驚く事も出来ずにただただ石の様に仲良く並んで突っ立っていた。
二人の間に入った方がいいのかダメなのかもわからずに俺達は視線で会話をしていた。
そうなるのもしょうがない。
だって、由良と燈の間を漂う空気は冬を思い出させるほど冷えに冷えきっていた。
絶対零度な一方的な睨み合いが一生続くのではないかと思い始めていた時にミハルが俺と視線を合わせて頷いてきた。
俺は何故頷いたのかよくわからずにとりあえず頷き返すとミハルはグッと親指を立てた。
それから、ミハルは一歩前に踏み出して燈の隣に立った。
この最悪な空気の中ではあのK(空気を)Y(読もうとしない)なマシンガントークを得意とするリナですら黙り込んでいるのに、この空気に耐えられなかったらしいミハルがいつものように笑って由良に話しかけた。
俺の隣にいたシマはギョッとしていたが、多分俺も同じ顔をしていたに違いない。
だって、俺もこんな最悪な空気を作った張本人によく話しかけられるなと内心で引いていたから。……というよりも、あの時の頷きは「この空気をぶち壊しても構わないか?」の頷きだったのかと今更気づいた。だが、俺はそういう意味で頷き返した訳じゃない。
何故、俺の頷きをゴーサインと勘違いしたのか、一つの謎を残したミハルは止まらない。
ミハルはこの空気を打ち壊す神となるのか藪をつつくだけになるのかわからずに俺達は黙って行く末を見守る事にした。
「由良?どした?」
「……テスト期間だよ?何してるの?」
「ゲーセンにきた!」
「……燈、勉強は?何遊んでるの?」
「は?俺の勝手だろ?」
「何言ってんのさ。それで悪い点取ったらおばさん悲しむでしょ」
「取らないから」
「いつも取ってる癖に。一人で勉強するつもりなの?」
「こいつらとするけど?」
「……えぇ?それ、大丈夫なの?テスト期間中に連日ゲーセンに来てる様な人達だよ?」
ごもっともな事を言う由良だけど、それはお前がこの場にいなければ、もっと鋭利な言葉となっていただろう。
俺達の、ゲーセンの目の前にいる時点でとんでもないブーメランになってる事に気づいていないらしい。それほどまでに今の由良は冷静ではないようだ。
どうやら、ミハルの行動は藪を突いて蛇を怒らせるだけの悪手を打っただけとなったみたいだ。
だが、ミハルの所為だけでは無いと思う。
昔の由良はどれだけイラついていても表に出す事は無かった。
……俺が知らないだけで燈と何かあったな。
だけど、それは今考えても意味のない事だと頭の隅に追いやり目の前の状況をどうするかにだけ集中し突破口を探す。
由良の少し棘のある言葉を聞いた燈は何を言われたのか理解が追いついてなくて固まっていた。そうしていると、この空気に耐えられなくなった二人目が笑いながら由良の前に立ちはだかった。
「……ふっ、確かにその通り。勉強せずにゲーセンに来ている……俺達はお馬鹿な奴らだ」
「そうだね!」
「いや、否定しろよ」
「だが、太陽が真上にある時刻は昼。そして、テストは明日。つまり、時間はまだまだある!そしてそして!ここには中学の時からクラスで一番を取ってきた頭の良い奴がいる!俺とハルは駄目でも奴がいれば心配はいらないだろう!そいつの名は……」
「おい、ちょっと待て、」
「……この及川様だッ!」
「宿題も超絶完璧だし多分授業もきちんと聞いているであろう及川様がいれば、もう、百人力よ!!俺達みたいな馬鹿にもいつもみたいにお慈悲をもって助けてくださるだろう!」
「俺の事を誇らしげに言うな」
「友達の事はオレ自身の事!そして、オレ自身の事は友達の事でもある!」
「新しいジャイアニズムだな。……いや、それはジャイアニズムなのか?」
二人は俺の肩にポンと手を置いて贄の様に由良の前に差し出した。
どういうつもりだと二人を交互に見つめると力強く頷かれるだけで何も喋らなかった。
後は任した、ということらしい。
それにため息をつきながらも、どうにか、この場を丸く収めるべく由良と目を合わせた。……のだが、恐ろしく俺達を見ていない目に、またまたため息が自然と出てきたが、時間は有限と自分に何度も言い聞かせながら重々しい口を開いた。
これ以上事態をややこしくしない為に本当に言いたい事はグッと喉奥の腹の奥に飲み込み、ここからすぐに立ち去れる様に言葉を丁寧に選びながら話した。
「えー、今から、責任を持って、俺が燈達に勉強を、教えるから。燈の事は、気にせずどうぞ」
「……、……及川、がいるなら、……大丈夫だね」
「よし!じゃ、帰るね!行こ、燈!」
心にも思ってない言葉を吐いた由良の能面の様になった顔がやっと俺達の方に向いたが、その視線に耐えきれずに返事も聞かずに四人でゲーセン近くにあるファミレスに走って逃げ込んだ。少しの距離なのに案の定、燈は苦しそうにしていたが、店に入って席についてメニューを見るなり、誰よりも早くに注文する物を決めていた。その顔はさっきよりかはマシな顔色に戻っている。
その変わり身の速さに安堵しながら店員を呼ぼうとボタンに手を伸ばしてる燈の手を掴んで止めておいて、シマとミハルに注文する物をさっさと決めるように促した。
「ガッツリ食いたいけどなー!甘いもんも食べたい!」
「な。ちなみに俺はパンケーキとメロンソーダ」
「甘い物と甘い物……虫歯になりそう」
「歯磨きしてればなんないし」
「てか、さっきのあれ何?」
「……まぁ、その前に早く決めてくれ」
「及川、何食うの?」
「え?俺?ジンジャーとティラミス」
「……ん?お前、さっき燈になんか言ってなかった?虫歯になりそうとか?」
「いや、納得の答えが返ってきたから。なら、大丈夫かと思って」
「……そっか」
長考のミハルと肉と肉で迷っていたシマもどうにか注文する物が決まり、ボタンを押そうとしていた燈から手を離した。
店内にチャイムが鳴り響いた後に数秒で笑顔の店員さんが俺達の元へとやってきた。
やっとボタンを押せて清々しい顔をしている燈の注文を俺のと一緒にして、シマとミハルも各々で注文を伝えると店員さんは「では、ごゆっくり~」と言って去っていった。
店員さんがいなくなったのを確認すると、シマはすぐにまたゲーセン前での出来事について話し始めた。
普段はさっぱりした性格で過ぎた事を気にしないシマだが、さっきの出来事は少し頭にきたらしい。
「言ってる事はあってるよ。あってるけどさ、言い方さめっちゃ棘あったよね?」
「ね!」
「まぁな。お前らもゲーセンに来とるやろ!って言いそうになった」
「それ思った!お前だってめんこくてー、胸が大っっきい彼女連れてゲーセン来てんじゃん!仲良く腕組んでさ!!見たか!たわわな胸がッ!!腕に当たってんの!?」
「な!」
「まぁ、その彼女もドン引きしてたけど」
「……いつもの由良ならあんな事言わない」
「確かに。今までは普通だったのに」
「……」
「ね!何回か話した時あるけど、あんなに感じ悪くなかったよね。お腹空いてて機嫌悪かったのかな?」
「……そう、かもな」
由良が本気でテスト期間中にゲーセンに来ることを怒っていたら、由良自身もゲーセンにいない筈だ。
つまり、由良の怒るポイントは他にあった。
これは断言出来る。絶対に間違ってない説だと自信を持って言える。
だって、あの場には燈がいたから。アイツが怒る原因なんて燈しかいない。他人に興味がありそうに見えてない奴だから、基本的に燈以外に感情が動くことはない。……本人はあまり自覚してないようだけど。
そのことを踏まえると、おそらく自分以外と遊ぶ燈を見て腹が立って、いつもの優しい優しい由良を保てなくなったとかだろう。
そうなるくらいに燈を想っているのに、当の由良は何故燈への好意に気づかないのだと思わなくもないが、多分由良は類を見ないほどの鈍感男なんだろと結論づけている。
それよりも今は、このどんよりとした気まずい空気をどうにかしなければならない。
シマとミハルは珍しく機嫌が悪そうだし、燈もこの話をしてる最中は気まずそうに視線を彷徨わせている。大方自分の所為だと勝手に思って自分自身を責めているのだろうがお門違いにもほどがある。
それを伝えようと口を開くも不機嫌さを全面に出した顔のシマが少し真面目なトーンの声音で先に話し出した。
「さすがにね、今回の事で付き合い方を改める必要があるなと思った訳よ」
「んね!」
「……なんか、悪ぃ」
「なんで燈が謝んのさ!まぁ、すこーし気分は害されたけども!それは奴の仕業であって燈のせいではない!はい!断言!」
「そうだそうだ!」
「よし、その話はもう終わり。それよりも、メシ食ったら勉強しよっか」
「ん?」
「んー?」
「んん?」
「急に耳遠くなるな」
「やだー」
「……燈は1教えたら50出来るからまだいいとして。シマとミハル……問題はお前らだ」
「マジかー」
「大マジだ」
赤点取ったら放課後はその科目の担当の先生と二人きりで勉強しなきゃいけないという事を思い出させてやると素直に教えてくださいと頭を下げられた。
テスト一週間前ならまだしも、テスト期間中に出来る事はもう限られているし、圧倒的に時間が足りないが本人達にやる気があるなら仕方ない。
いつもよりも厳しく教えるかと気合いを入れた。
「ところでさ、ミハルのあの頷きは何だったの?訳わかんなくてとりあえず頷いちゃったけど」
「特攻していいかの確認!」
「……わっかんないから、次から口で言って」
ふと、鳥の囀りが聞こえて顔を上げて、窓を見るとカーテンの隙間から日の光が差し込んでいた。勉強を始めた時は真っ暗だったのに集中すると時間が経つのが速いなと、長時間同じ体勢でいたことで凝り固まった身体を伸ばした。
すると、人体から出ているとは到底思えない音が鳴って少し休憩をしようかと思い立ち上がる。
「ぅッ……!」
立った途端に立ちくらみが起こって、机に手をついて大人しく治るのを待った。
でも、いくら待っても治る気配は無く、それどころか世界が回っているように見えてきて、立っていられなくなりその場にしゃがみ込む。目を開けていても気持ち悪くて、瞑ってみるもそれは変わらなかった。
座っているのも辛くて床に寝転がるが、めまいが良くなることはなかった。
こんなことしてる場合じゃないのに。
まだ、数学のあの公式をちゃんと覚えたのか確認しないといけない。国語も漢字が不安だし、英語はスペルミスが恐いからまだ書かなければならないし他の教科もまだまだ勉強しなければ。
じゃなきゃ、100点なんて取れない。
まだ、足りない。
勉強、し足りないのに。
そんな俺の意思に反して意識は徐々に遠のいていく。身体を動かそうとしても、自分の身体じゃないみたいに動かなくて気持ちだけは急いて急いて急いていた。
どれだけ藻がこうとしても藻がけないほど疲労した身体は俺から身体の主導権を奪い取った。疲労した身体に目を瞑って動かないでいると、どうなるかなんて考える時間すらいらないほどわかりきっていた。
「……く、ない……ねむ、……ない……」
まだ、勉強しなきゃ。
100点、取らなきゃ。
そうしないと、いい子じゃない。
どうにか、抗おうとしてみたものの、結果は惨敗。
俺は世界が回る間隔に襲われながら、ものの数秒で眠りについていた。
そのまま、目覚まし時計が鳴るまでぐっすり眠ってしまい、起きた時は罪悪感と焦燥感に襲われてめまいが治っているのにも気づかなかった。
床で寝たからか身体が痛みを訴えていた。
立ち上がる前に意味があるのかわからないストレッチをしてから、ゆっくりと立ち上がった。身体に異常がないことを確認して、自身の若さにひとしきり感謝していると、
「一輝!起きてる?」
「起きてる」
ちょうどいいタイミングで階段下から父さんが大声で起きているのか確認してきた。
その声に俺も大声で答えてから部屋から出ていい匂いがする一階に向かう。その匂いに釣られて腹の虫が鳴った。
リビングにつくと、もう涼さんは起きていて椅子に座って優雅にコーヒーを飲んでいた。
「おはよ、涼さん」
「おはよう。……一輝、顔色悪いけど具合悪い?」
「顔色悪い、かな?めっちゃ元気だけど」
確かに、眠る前は体調が悪かったけど今は健康そのものだから、まさか、そんなことを言われるなんて思ってなかったから驚いて涼さんを見ると、心配そうな顔で俺を見ていた。
涼さんはクールそうな見た目に反してとても心配性で情に厚い人だ。家族になる前からそれはわかっていたけど、なってからはますます心配通り越して過保護になってきたように思う。でも、それを鬱陶しいとは思った時はなかった。寧ろ、血の繋がりのない俺を心の底から心配してくれていることが嬉しかった。心配かけて喜ぶなんて人として最低だとわかってる。だから、いい子になれるように二人の誇れる子供になれるように頑張ろうと思ってしまう。
そんな優しい涼さんに本当に元気で大丈夫だとわかってほしくて笑って「大丈夫」と伝えるけどそれでも涼さんの表情は晴れなかった。
「具合悪いなら遠慮しないで言えよ」
「わかってる」
大丈夫だと言っても涼さんの心配は尽きることなく、父さんが三人分のご飯を持って現れるまで続いた。
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