第24話 新しい何か

 マルタです。

 あの混乱の中、入ってきた指。

 動く度にかき混ぜられ、私はもう。

 知らなかったときに戻れません。


 そう、両方に入った指……

 ああっ。



「マルタちゃん。私たちと暮らす?」

 このお方は八重様。

 ものすごい笑顔、でも私の本能がなぜか駄目といっているけれど、私は彼女の手を取ってしまった。


 そのおかげで、加護を頂き、人間を無事にやめることができました。


「八重、どうしてこの子が、一緒の部屋に?」

「それはとうぜん、新しい喜びのために。この子言うほど若くもないし、子供時代の栄養が悪かったのね。大きくなれば美人になるわよ」

「そうなのか、でもおまえ、それで良いのか?」

「何が?」

「二人の時間が減るぞ」

「当然一緒にするのよ。ほらこの子、手が小さいから入るの」

 ああこいつ、一線を越え変態へと一歩踏み出しやがった……


「マルタお前は良いのか?」

「もう加護も頂きましたし、お話も聞いています。お二人が人間。普通の人間じゃないことも。そして、この世から居なくなっても、あの方達が元の世界に戻ったことも」

「八重、おまえなあ」

「良いじゃ無い、本当は、マルタちゃんに刺されて絶望をする松井くんも見たかったけれど、死んじゃったからね。残念」

 俺は盛大にため息を付く。


 そんな話をしながら、恍惚とした表情をしているマルタにも恐怖を覚える。


 マルタちゃんに刺されて絶望をする松井と言うところで、ものすごく見てみたいとも取れる感じで、その時股間を押さえて嬉しそうな表情を浮かべた。

 この子も八重と同レベルでやばい子だ。


 まあこれから、この子にうちの流派が使っていた技を教えることになる。この世界で広めて貰おう。

 暗殺にも使えるし、この子の身を守るためにも、効率が良く効果的な技は必要だろう。



 その後工事は進み、宿舎と家が出来上がる。

 ついでに、皆から意見を聞き、上水用のろ過装置と、ボイラーを造った。


 パイプに棒を突っ込む水道ができて、湯冷ましとお湯が出る。

 これにより、ひ弱な俺達でもお腹を壊す日常から解放された。

 止水は、真っ直ぐ差し込むと、スコンと抜けるので、パイプに穴を開けて、上から下向けに突き刺す事で抜けることがなくなった。


 そして、薪代がかさむが、女の子は喜んでくれた。

 二十四時間風呂に入れる。

 これは大きかった様だ。


 浄化では、入浴の代わりとならなかったようだ。

 入浴だとお肌の代謝が良くなるんだと。


 そして、周囲の山々は、自然豊かで香辛料の確保。

 そこから、町の住人へ向けて、料理教室。


 大豆から、各種発酵食品とか、腰が落ち着いたので開発を始めた。

 そう某有名なペニシリンも作ったし。


 何年?

 そう三年くらいは平和だった。


 その間、ファースティナ王国ではひたすら騒動があり、王はどんどん壊れて、三年後、切れた……


 先ずは、基礎体力の拡張のため、セコンディーナ王国を襲い奴隷化。その後全軍で魔族領へと侵攻をすると計画を立てる。


 非常に迷惑でザルな計画。

 前回の戦闘で、兵が消滅をしたことを忘れたらしい。

 ただ、今回前線に出てきたのは、かき集められた女と子ども。

 家族を、人質に取り、言う事を聞かせる最悪な状況で攻めてきた。


 対峙するこちら側も、どうするかと悩むところだ……


 だが、俺達がいる。

 地元の兵達だけなら、殺れば良いじゃんと言うノリなのだが、俺達は、見張っている奴らを捜し回った。

 この頃には、力が馴染み、皆の力は無敵というレベルに上がっていた。


 闇に潜み、闇を走る。

 敵の見張り間者や、指揮をしている奴らを的確に殺していく。


 三日もあれば、敵兵から、専任の奴らが消えていた。



「ようし行けぇ。王のご命令じゃ、セコンディーナ王国を倒し、属国化をなす」

 指揮を任されたリノセール=ボーリー侯爵、こいつは小悪党。


 家を継ぎ、その後周囲へ援助という名の救済を行い、何かの折ごとに手数料を乗せて嫌われていた。


 そう、戦闘から縁遠く、前回の顛末を知らなかった。

 そのため、恨みから推薦をされた。


 専任の兵がいたが、それは領地に残し、力のある男達も農作業に必要。

 必要が無いのは女子どもだと、考えているのかいないのか、この作戦を決行した。

 逆に隊の中に混じる男達は、周囲の領から金利がてら借り受けた。


 死ねば損だが、周囲の領は農作業が滞る。

 利払いが遅れれば、利上げを実施する予定だ。


 頭の中では、どっちに転んでも儲けだと考えていた。


 だが、実際に向き合えば、兵達は尻込みし前に進まない。

 矢が飛んできただけで後退をする。


 かといって、自身が前に行く気概は当然ながらない。

 兵法も知らない。


「ううぬ。どうすべきか……」

 適当に、見目の良い娘達を連れてきて、奉仕させながらテントの中で考える。


「おい、何か手を考えろ」

 酒を飲み、わめき散らすのみ。


 そんな中で、密かにおこなわれていた、セコンディーナ王国の作戦。

 昼間は、にらみ合いから、少し戦闘。


 そして、この世界ではあまり取られなかった夜間の工作。


 知らず知らずのうちに、兵の中に混ざり、情報を集めて侯爵の手者のが消えていく。

「そりゃ旦那さんも連れてきて、この国に住まないか? ファースティナ王国より、絶対にいい国だよ」

 多少大人になった、武神達のグループ。


 色々なお勉強と経験を積み、立派な女たらしになっていた。

 地球人側からすると、この世界の女の子は性欲高めで情弱。

 引っかけるのはたやすい。


 なんせ、女の役目は、子を産み育てるというのが常識。

 地球なら、どこかの団体が気が狂ったように騒ぎそうな常識世界。


「えー。男爵様?」

「そうそう」

「だんなは、もう良いです。この子達が食べていければ良いので……」

 そして結構ドライ。


 そして、気が付けば雑兵がいなくなっていく……

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