第14話 傭兵団

 傭兵団という事にしたが、俺達は強かった。

 スヴァールの町、ギルドであっという間に噂になっていく。


「あいつら何者だ?」

「ああ全員が強え」

「黒い奴らだけだがな」

 そう中に混ざっている原住民。彼らはノーマルだ。


 ここに来た時点で、残りプラス増えた者達は俺と、八重を除き、武神 光明ぶしん みつあき古川 竜司ふるかわ りゅうじ

 竜司の彼女柴田 美咲しばた みさき


 武神とグループを組んでいる、永礼 理一ながれ りいち、コイツは魔法の扱いが上手い。

 業力 研ごうりき きわむ、コイツは筋肉馬鹿。

 今でも大盾を振り回して、武器としている。

 そう武器にしているんだ。馬鹿だろ……


 そして、遠見 貫司とおみ かんじ、コイツは憧れもあったようで、弓を使っているが、知識があり、こちらの弓を改造したのを使っている。

 元々この世界にあった物は、手でもつハンドル部分に、リムと呼ばれる部分が上下に刺さっており、これに弦を引っかけて使う。


 だが材質を金属に換え、固くて引けないからと曲玉のような滑車を組み込み、コンパウンドボウと呼ばれる物を作った。

 コイツは、現地の弓を射程距離で圧倒する。


 武神は妙なカリスマで、みんなを率いて、それを戦略でまとめるのが与野 悟よさの さとる

 軍師とも言える働きをする。

 歴史が好きだったそうだ。

 そして、現地で女の子を拾ったグループ。

 鈴木 悠司すずき ゆうじが、ミリーと言う子。

 岩崎 秀幸いわさき ひでゆきは、ピア 。

 ミリーと村が一緒らしい。


 太田 剛士おおた たけしはノヴァーと言う子。

 少しお姉さんぽい。

 この世界の農民は、歳などはっきり覚えておらず、適当。

 特に女の子はその傾向が強い。


 そしてだ、明らかに小さな子、マルタを連れる松井 晋也まつい しんや 。

 一二歳さいくらいと、本人は言っているようだが怪しい。


 そして、女子達。

 クラス委員の稲葉 沙織いなば さおり

 そして一緒に、現地彼氏を失った川瀬 陽子かわせ ようこ


 胸がでかく運動音痴の山田 亜美やまだ あみ

 なぜか生き残っている。


 どさくさでも目ざとく俺達の後を追い、生き残ってきた田中 忍たなか しのぶ小林 未希こばやし みき小川 楓おがわ かえで星野 みゆきほしの みゆき


 意外とこのグループ、目端が利くと言うのか、ギルドや町の情報を拾ってくる。

 役に立つと言えばいえる。


 ギルドの酒場でも色んな者達と仲良くはなる様だが、色っぽい話にはならないようだ。


「だって、バカだしエロいし臭い」

「そうそう下品で臭い」

「うん、そうだね。臭い」

 臭いらしい。


 それは良いとして、町に来たことで物が手に入ることにより、食い物もましになってきた。


 塩味や、ハーブの類い、樹の実。


 一月もすれば、随分文化的な生活が行えている。


 野営などもあるため、男達も現地アレンジの料理を習い、それのおかげか、男女平等。


 差は無い。

「重たいの、男子手伝ってぇ」

 そんな声など完全無視。

 女子でもみんな、五〇〇キロくらいなら持ち上げられる。


 気を抜けば汚れ仕事、そう獲物の解体とかから逃げようとしていたが、慣れてきたようだ。


「ヌー骨のスープって美味しいよね」

 そう言いながら、パキパキと骨をへし折っている。


 そう色々が、女の子の方がたくましい。


 美味しいもののためなら、躊躇しない。


 気が付けば、家の裏に畑ができた。

 菜の花系の花。

 だいこんも混ざっているらしく、ありがたい。

 油も取れるし、肉の臭みや、柔らかくする効果もある。


 ただ、その奥。

 穴が掘られ、雑草や動物の内臓などが堆肥として作られている。

 誰かが勿体ないよねと言い出したのが初め。

 脳みそを食うと言いだしたのも女子。


 異常プリオンが無いだろうなと、言いながら食ったが。

 そう、むかしむかし、狂牛病とかで話題になったもの。


 そうして、パンが美味くないと文句を言って、自分たちで作り始めそれは、今現金収入になっている。


 そんな頃、他国が攻めてきたと話が出る。

 ギルドにも、話が来て、俺達もでる。



 そうその国は、ファースティナ王国。

 聞けば定期的に来るのだそうだ。

 比較的に強いこともあり、この国も年々土地を奪われているらしい。


「だから俺達が来たとき、嫌そうな顔をされたんだな」

 判りきっていることを、武神が声高に言う。


 コイツ、行動がどこかの政治家のようだ。

 当たり前のことをなぜか言う。

 だけど人気はある。

 解せん。


 いま、微妙なバランスを保っているが、田中達も、武神のグループのことは気にしている。

 そのうち、くっ付くかもな。


 なんか懐かしい、行軍。

 元来た方へ、今度は街道を堂々と歩いて行く。

 こちらの貴族は、そんなに偉そうにせず、必要な物資があればできる限り分けてくれると、ギルドマスターが言っていた。


 農民達は、相変わらずお見合い状態。

 村からの徴兵と、口減らしで出された者達。

 言っては悪いが、この世界はおもしろい。


 ただ、敵が見えると、フラグ立て大会が発生する。

「生きて村へ帰ったら、お前を絶対嫁に貰う。頑張ろう」

 そんな声が、あちこちで聞こえる。


「ファースティナ王国。そこはすでに我が領地。そんな格好で入ってくるなら、侵略行為と見なす。返答やいかに」

 馬に乗って偉そうに前に出たオッサン。


「貴公の言うとおり、侵略だ。貴公の土地、我らが有意義に使用させて貰おう。なあに、時間は取らせんが、引いてもらっても良いぞ。私は、分別のあるものとして貴公を褒めよう。たまに腰抜けと本心が漏れるかも知れぬが。ふわっはっはっ」


「このお、言わせておけば、弓隊。構え、放てぇ」

「卑怯者」

 調子乗って、前へ出ていた敵将に矢が降りそそぐ。

「あっ。馬が暴れて落ちた」

 魔族戦とは違い、結構楽しい感じで、開戦された。

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