第二章 異世界暮らし
第13話 とりあえず、生?
仕方が無いので、周囲に居た農民さん達に話を聞く。
俺達は王国以外を知らない。
だがしかし、農民さん達も年に一度、ここへやって来るだけで、よく分からないらしい。
適当に捕まえた猪を、鍋にしながら話を聞く。
鍋と言っても、雰囲気は豚しゃぶ。
ポン酢無し。
農民さんが食べられる野草を放り込む。
委員長達は泣きながら帰ってきて、浄化をしてあげた。
すると女子達が我も我もとやって来て、みんなを浄化をした。
風呂がないしな、途中の川で固まって水浴びをしていたようだが、いい加減、匂いが気になって恥ずかしかったらしい。
ついでに、野郎共も浄化をした。
「なんで、みんなできないんだ?」
「知らないから。習っていないし」
これだから、近頃の若い者は……
習わないとできないというのはよくないな。
なぜかそんなことを考える。
話をして、王城に帰るというのは完全に無しとなった。
お近くの魔族領は避け、別方向へ行くと言う事で話は決まる。
街道を行くと、領ごとに関所がある様なので、道なき道を行く事になる。
戦闘自体はあれで終わったらしい。
まあこっちの兵達は、ほぼ死んでしまったし仕方が無いのだろう。
農民達の村を巡りながら、順に移動をして歩いて行く。
途中、農民達は自分たちの村に残るため、最後は、俺達と保護をした女の子達。
一部、向こうでモテなかった奴らが、ピンク色の雰囲気をばら撒いている。
途中で狩りをして、燻製を作ったり、サバイバルをしながら移動する。
徐々にみんなも慣れてきた異世界サバイバル生活。
途中の川で、梁を仕掛けて魚をとり加工をしながら野宿をしていると、真剣な顔をした八重に森の中へと引っ張って行かれる。
「どうした?」
「しっ。もうだめよ」
その真剣な表情に俺は思わず周囲の探査をする。
「特に何もいないようだ……」
言いかけた所で、口を塞がれる。
キスとも言うが。
「みんなと一緒でできないのは分かる、でも無理」
「えっ、なに」
「とりあえず生で」
そう行って、まあ。
どうしても我慢ができなかったらしい。
周囲を探査しながら頑張る。
彼女の口は常時塞ぎ、サイレント状態で。
「やっぱりふれあいは、深い方が良いわ」
などと言いながら満足をしたようだ。
寝転がり周囲を探ると、色々な所で、みんなもとりあえず生をしている様だが、そんな事になり繋がりが増えると、目的の達成がしにくくなるな。
そんな、むごいことを考える。
みんなを帰すのが俺の仕事だが、俺も鬼じゃない。
そんな事を色々考える。
神の話が本当なら、こっちで一生を送っても向こうでは一瞬ならそれでも良いのではないかと。
記憶が残ればそれはそれで面倒だがどうしよう。
俺は少し悩む事になる。
横で、幸せそうな顔で眠る八重。
だがそうは言っても、強引に惨殺は好みじゃないし、みられて向こうに帰ってからの面倒はいやだ。
そう自分勝手だが、そんなことを考える。
そして、それからさらに二週間。
山を越えると、町が見えてきた。
「あそこに行ってみるか?」
「そうだな。いい加減サバイバルも飽きたな」
最近俺の側には、古川 竜司と武神 光明が見張りでもするようにくっ付いている。
クラス委員の鈴木 悠司がミリーといちゃつくのに忙しくて役に立たないため、俺達がしきっている。
女子のクラス委員稲葉 沙織はまだ、ドニ-とやらの死を引きずりもっと役に立たない。
「いくか」
俺達は、町に向かう。
「ようこそ。入るなら金を一人銀貨一枚だ」
「これは使えるか?」
革袋から銀貨を出す。
それを見て、発行国が判ったのだろう。
「お前さん達ファースティナ王国から来たのか? 悪さはするなよ」
あそこの王国人は評判が悪いようだ。
「俺達は、王国人じゃないからな。旅の傭兵団だ」
「流れの軍人か。何かあればたのむ」
そうそんな設定をした。
実際強いはずだしな。
その頃王国、王都ヴァレンティーニでは、王が報告を受けていた。
「ものすごく大きな炎が落ちてきて、前の方にいた人達は全滅です」
「なんだと、あの召喚者達もか」
「おそらく……」
「なんと言うことだ、魔族め、次の召喚を行え」
だが、それ以降。魔法陣が光を発することはなかった。
じじいとの約束だったからな。
「どうしたの?」
「いや別に」
俺達は、ギルドに登録をして、ついでに家を借りた。
「当面ここを拠点にする」
みんなも納得をしてくれた。
と言うか、みんなサバイバルに疲れていたようだ。
勝手に風呂も作った。
記憶にあった循環窯。
真鍮がこの町にもあって、たのむと加工をしてくれた。
五右衛門風呂よりは扱いやすい。
二口の水の通路を作り、暖められた水は、上から噴き出しその分下のパイプから水が吸い込まれる。
当然薪で湯を沸かす。
魔法でもいいが、当番がなぁ。
すぐに俺が頼られる、どうも力を見せすぎたようだ。
まあ、しばらくはここで暮らそう。
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