神様の願い

色葉みと

神様の願い

 昔々のその昔、がこの世界を創り出しました。その神様はしばらく経ってから植物を創り、動物を創り、人の子をも創りました。

 創って満足した神様は、遠く離れたどこかからこの世界を見守ることにします。


 何百、何千、何万もの年が過ぎた頃、それは起こりました。人の子が神様の存在に気づいたのです。


 それからの人の子は強欲でした。

 雨を降らせてくれと、病を治してくれと、奇跡を起こしてくれと……、自分の願いを叶えてくれと。

 面白がった神様は気まぐれにその願いを叶えてあげることにしました。ですが、だんだんと人の子はわがままになっていきます。それを見て呆れた神様はどこかへ行ってしまいました。


 なので人の子は考えました。

 どうすれば雨は降るのかと、どうすれば病は治るのかと、どうすれば奇跡は起こるのかと……、どうすれば自分の願いは叶うのかと。


 ある時、人の子は思いつきます。神様がいないのならつくってしまえばいいということを。


 人の子はひとりの少年を祀り上げました。供え物をして、雨を祈って、自由を封じて。


 その少年は信じていました。自分が神様になれば願いを叶えて、困っているみんなを助けることができると。


 やがて少年は力を得ます。雨を降らせる力を。


 ですが、その少年に祈る者はいません。長い永い年月が経っていたから。経ちすぎていたからです。

 永い時の間に、人の子は祈ることをやめてしまいました。様々なものを発明しました。雨を降らすことができる道具や、病を予防する道具など。神様に頼らずとも生きていけるようになったのです。


 少年はには成れなかったのです。成れたのは、雨を呼ぶ者。神様でも人の子でもない何か。


 ひとつだけ、その少年が神様になる方法がありました。それは、誰かの願いを叶えること。ただ、少年には雨を降らせることしかできません。


 そんな時、少年を視ることができる人の子が現れました。話を聞いた人の子は願います。「ぼくとまた会ってください」と——。


 ——この世界には二柱の神様がいます。


 世界を創ったと、願いを叶えた

 本来の神様は遠く離れたどこかに、本当の神様は私たちの近くに。もしかしたら意外な場所にいるのかもしれませんね。

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神様の願い 色葉みと @mitohano

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