第4話
「おいお前、さっきの態度…」
先輩メイドが私の前に…
次回 紫苑死す!開始5話で打ち切りの物語!
と冗談じみた次回予告が流れてくるぐらい今めっちゃ焦ってます…死んだわ
「スゲー良かったぞ!!」
「……はい?」
「いや~今の世代、誰もが熱意のない半端者だと思っていたが…お前は違った!」
先輩メイドはすごい勢いで話してくる。
さてはこの人熱血教師タイプだな?
「ドコの誰かもわからんような私らにも憶せず声を張れる精神力!そして都に響き渡るほどの声量!その根暗そうな見た目や、先ほどガーベラから聞いた体力の無さからは考えられん。とても良いぞ!!」
そう言って私の頭を無造作に撫でだした。
うわ~この人陽キャだ。しかも悪気なく陰キャの心エグッてくるタイプだ。
「あっ…ははっ…ありがとうございます…」
なんか自分が悲しくなってくる。
やめてよ、わかってるから…
てか、元が根暗だし、ウザい系の根暗だし…
「悪かったな。恥ずかしいところをお見せした。私は『サルビア』ここのメイド長をしている。
…シオンだったか?これからよろしく頼むよ。」
「はい!よろしくお願いします!!」
「今日はもう疲れたろう。仕事やここにいる奴らについては明日話す。カリア、部屋まで案内してやれ。」
「はっ、はい!」
そう言うと、サルビアさんは荘の奥ま行ってしまった。なんかよくわからんかったけど…
「「助かった〜」」
ハモった。そういえばこの子の話もしかして白紙になったんじゃ…
「あっ…あの!その、ありがとね。本当に助かった!」
「いやいやなんか大事なお説教タイム邪魔しましたし、ごめんなさ「そんなことないよ!」
食い気味。そんなイヤだったのか。
「先輩、普段はいつも優しくて、とても尊敬してるんだ!私、物覚え悪くていつも失敗しちゃうけど、先輩はそんな私を見捨てず育ててくれて。でも…」
「でも?」
「怒ったら死ぬほど怖い。だから説教だけは死んでもイヤ。地獄。」
彼女は顔を真っ青にし、ガタガタ震えていた。
こりゃ過去に相当酷く絞られたのだろう。
もはや軽いトラウマである。
「そっか…」
「まだ自己紹介してなかったよね!私、マトリカリア!皆からはカリアって呼ばれてるの。貴方は?」
「紫苑です。音木紫苑。」
「…えっ?」
「…ん?」
何だこの間は?私なんか変なこといった?
もしかしてここじゃこの名前相当ダサいのか!?
「それ、人間だったときの名前だよね…苗字あるし。」
「そうだけど…なんかおかしいんですか?」
少しの沈黙。しばらくして、カリアさんは口を開いた。
「あのね。ここじゃ皆、新しい名前を殿下からいただいているの。新しい運命を歩くためと、殿下に忠誠を誓うこと、それがここでの絶対条件だから。だから皆、前世の名前は捨ててるんだよ。」
「えっそうなんですか?!」
「うん…」
あんにゃろー私にだけ付け忘れたのか?
それとも軽いイジメか?
どちらにせよ腹立つ!
「本来ならここに呼ばれて、話をして、役職をいただく時に一緒にいただくはずなんだ。他のとこも一緒だし忘れるとか無いと思うんだけど…。」
何だそりゃ?
正直名前を変えることの意味もはっきりとしないが、私だけ変えない理由のほうがわからない。
「まあいろいろ理由があったんだよね。余計な詮索はしないでおこう、失礼だし。何より、殿下の考えを暴こうなんて愚行したくないし!」
私の名前の謎については触れないことにしたらしい。こちらもこれ以上は時間の無駄だしやめておくか。
「それじゃ部屋を案内するね。それと改めて、
ようこそ!サルビア邸へ。」
「…こちらからも、これからよろしくお願いします!」
私は応えるように元気よく返答した。
「ここがシオンちゃんの部屋だよ。部屋着やとか生活用品は大体あるはずだから心配しなくて良いよ。私の部屋はここから少し奥で右端から2番目だからなんかあったら呼んで!役立たずかもだけど、力になりたいんだ。」
「はい!ありがとうございます。」
「じゃあまた明日ね!」
カリアさんはひらひらと手を振って去っていく。
それを見送って私は部屋に入った。そして思った
……めっちゃ可愛え〜〜!!
あの人、リアルじゃガチ天使として持ち上げられてたろ!あざとさとガチの天然の化学反応ヤバすぎ!しかも嫌味ないし、超優しいし…
とんでもない美少女と出会ってしまった。
と
「いや〜眼福だったー。とゆうか…」
(ここの部屋広すぎじゃない!?てか豪華すぎない!?)
広々とした空間に、フカフカで3秒あったら眠れそうなベッド。クローゼットや机も大きく、生活必需品は全て揃っていた。極めつけに、、、
「何じゃこのバカでかいお風呂は…。」
(メイドの住む部屋じゃないし、ましてや雑用係が住む部屋でもない!)
「お金の使い方どうなってんの…?」
困惑してはいるものの正直なところ、こんな豪華な一室を自分のものにできるなんて嬉しすぎる!
…この時私は気づいてなかった。
この部屋分の仕事が想像以上にキツイことに…
「…喉乾いたな……」
目が覚め、白湯でも飲もうと私は部屋から中央広間へ向かった。
(あれ?なんか騒々しいな…)
広間に着くと…
「お前ら〜!今日も迅速に、かつ丁寧に!仕事を遂行しろよ〜!!」
「「はい!!!」」
大勢のメイドそして執事達がこれでもかというほど必死に働いていた。
エグい。
嘘でしょ?まだ4時だぞ。
皆さんピンピンしていて、やる気に満ちていることもあり、起きたの何時ですか、休めてますか、なんでそんな元気なんですか、という謎が私の頭をぐるぐると巡る。
「あっおはよ〜!!」
「アレッ!もしかしてこの子が新人ちゃん?」
「えっかわっい〜!」
何人かのメイドが手を振ってきた。私も振り返す。すると、
「コラッお前ら!仕事中だ、手を動かせ!」
案の定サルビアさんに怒られてしまった。
なんか申し訳ない…。
「おはよーシオン!悪いが8時…いや、9時頃まで待っててくれないか?そのくらいになったら何人か手が空くだろうから。」
「いえいえ!私なんかのために時間割いてくれるだけで感謝しかないので…。そうですかじゃあ、少し部屋で待ってますね。」
「あぁ、すまんな。」
私は白湯だけ飲ませてもらい、部屋に戻った。
いつか私もあの人達の様に毎朝3時起きとかになるんだろうか…キツ…。
とゆうか、私ってカレンデュラ様の【雑用係】だよね?やっぱもっと雑に扱われるんじゃ…。
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