第3話
「…は?」
あまりにも拍子抜けすぎる言葉の前にポカンと突っ立っている私は過去最高にアホな顔を晒していた。
そして…
「じゃーあとヨロシク〜。」
終わった終わったーと言わんばかりにカレンデュラが背中を向け、歩き出した。
「いやちょっと待たんかい!?」
思いっきり叫ぶ。そうしたら、
「…何?」と返した。
「こちとら意味わかんない場所で意味わからん役目与えられてんの。なんの説明も無しに行くやつがいるか!神だか王だか知らないけどちゃんと説明しろハデハデKING!」
「キミ…もしかしてメンドーなタイプ?」
「もしかしなくても私は面倒な人間です。」
私今、いままで一番大っきい声で最高に失礼な事言ったな。しくったかも…。
そんなことを考えていると、
「はぁ〜まぁいーやそこんとこも頼むわ〜『ガーベラ』『エーデル』。」
「はっ!」
さっきまで置物のように並んでいた騎士達はなんとも立派な返事を返した。そして、
「貴様、なんださっきのあの御方への態度は?」
長身短髪のいかにも堅物そうな方がグイッと顔を近づけ睨みつけてきた。
(怖い怖い怖い怖い怖い)
「ちょっとガーベラやめなよー。この子怖がってんじゃん!今回ははじめましてだし、大目に見てあげなよ。ごめんね?コイツちょっと頭カチコチ病だからさー笑。」
低身長ロン毛のいかにも仕事はできるけどサボりますしてそうな奴が庇ってくれた。コイツとは仲良くできそうだ。
「あのさっきは、ほんっとっーにごめんなさい…それとあの、カレンデュラ?さんって本当に偉い人なんですね。」
「カレンデュラ【様】だ。あの御方は本来、貴様のような低俗な
「……そーなんですね!」
思いの外、ガチで信仰されているらしい。
実は有能なのかもしれないな…いやないか。
「自己紹介するね、僕はエーデル。カレンデュラ様専属の騎士で補佐をしてる。そしてこっちがガーベラ。僕と同じ役職で、一応、この都で一番偉い神下だよ。」
「一応の意味がわからんがまぁそんなところだ。紫苑といったか。これからはカレンデュラ様の神下として恥じない行動をしろ。」
「はっ、はいっ!」
「あっははっ!そんなにかしこまらなくても良いのに〜。よろしくねシオンちゃん。」
「自己紹介も済んだところで、都の案内をしよう。何が何処にあるか知らんままでは元も子もないだろうからな。」
「ありがとうございます!」
「これで一通り教えたが……」
「なんっでそんなヘバッてんだ!ただ歩いてただけだろ!」
ゼーハーゼーハー
(くっ苦しい…てか私こんな体力落ちてたの?)
「ハーすっすみ、ゲホッ、ません…。」
2人は憐れむようにこちらを見ている。
恥ずすぎでしょ!?
「シオンちゃん…ちょっとずつでいいから、運動しようね…。」
「はい…」
体育をサボり続けた過去の自分を恨んだが、普通に考えて、この都が広すぎる。
カレンデュラ許すまじ。
と八つ当たりも甚だしいことを思った。
それから私は、2人に連れられカレンデュラ様の専属使用人達が住まう屋敷へ案内された。
もしかしたら、私もここで働くことになったからには某名作アニメーション映画のように頼み込まなければならないのか…
(なんか緊張してきた…)
変な汗をかきながらも、ドアノブに手をかけようとしたその瞬間
バンッと大きな音をたて勢いよく扉が開く。
それと同時にメイドが中から飛び出て来て、
ドンッと地面にたたきつけられる。すると、
「ひどいです先輩!私は皆さんのお役に立ちたくて頑張ったのに…」
「バカかっお前は!どうやったら頑張って洗濯機を破壊し、服を縮ませんだ!」
どうやら私は、修羅場に出くわしてしまったらしい。
とても気まずい!
「…あのーお二人とも少し落ち着いて…「それは!!ちょっと失敗しちゃったんです〜!可愛い新人のために慰めるのが先輩の役目ですよね?」
「何を甘えたことを…」
この人たち、止まらない。
ずっとガミガミ言ってる。
私影うすすぎじゃない!?
私の存在を無視して二人はケンカを続ける。
私の怒りパラメーター急上昇だってーの!
「あの!!そんなどーでもいーケンカしてねーで私のこと案内しろや!!!」
キーン
都全体に響き渡る私の声。
(いや…めっちゃ恥ず!)
目の前の二人のメイドの目は点になっていた。
「あっえと、あなたは…」
「あっあっ、あのっ、あのその、ごっごめんなさい〜!!」
またしても響き渡る私の声。
人生で一番恥かいた瞬間だったような…
あれ?もう人じゃないし、人生ではないのか?
「おいお前、さっきの態度…」
ズンズンと先輩メイドさんが近づいて来る。
(あっ終わったー私死んだやつだー…)
音木紫苑。
これからの雑用係生活お先真っ暗かも…。
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