第2話「アメリー家出する」
今日はこれで終わりかと思ったら……。
夕方城から帰ってきた父に書斎に呼び出された。
「グッズー男爵令息より話は聞いた! 彼を殴ったようだな!
お前が愛人としてグッズー男爵家に行けば、カシウスは好きな人と結婚できるんだ!
当家とグッズー男爵家との繋がりも出来る!
それを台無しにして!
この人でなしが!
弟が可愛くないのか!」
父から罵声を浴びせられた。
「そうよ、ちょっと子供を生むだけじゃない。
あなたは、そんなことも出来ないの?」
母からはそう言われ睨まれた。
「グッズー男爵家の愛人にならないなら勘当だ!
穀潰しはいらん!
出ていけ!」
さらに父に勘当すると言われた。
これには流石の私も、堪忍袋の緒が切れた。
「勘当上等です!
こんな家こちらから縁を切ります!!」
私は父の書斎を飛び出し、そのまま実家を後にした。
悔しい! 悔しい! 悔しい!!
どうしてここまでコケにされなくてはいけないの!!
器量がいいのがそんなに偉いの??
筋肉しか取り柄がない騎士の父と、
父そっくりの筋肉馬鹿の兄、
社交界大好きでパーティやお茶会に招待される度に新しいドレスを買う金食い虫の母、
結婚してから妊娠&出産を繰り返している義姉。
彼らが仕事をしないから、私が今まで領地経営してきた!
雑用を全部押し付けられていたので、髪や肌を整える時間もなかった。
節約の為に新しいドレスやアクセサリーを買うのも我慢してきた。
その結果がこれ??
弟の為に愛人として男爵家に行くのが私の幸せだっていうの??
そんな事を言う奴らは家族じゃない!!
もう知らない!
自分たちの仕事は自分でしろ!!
「お前は他の兄弟や姉妹と違い器量が良くない。
だから勉強し、技術を身に着けなさい。
働き者で賢ければ、格上の公爵家や侯爵家にだって嫁げるだろう」
そう言って勉強や領地経営のノウハウを教えてくれた天国のお祖父様。
「女は愛嬌よ。アメリーの笑顔は他の誰よりも可愛いわ」
そう言って、手芸やお菓子作りや詩や絵を教えてくれた天国のお祖母様。
二人が大切にしてきた家だから今まで頑張ってきたけど、もう無理!
両親も兄も義姉も領地経営の「りょ」の字も知らないからあっという間に家が傾くかもしれないけど、これ以上この家で耐えるのは無理だよ!!
こんな家、どうなっても知らない!!
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