第127話 姉須戸・トンプソン・伝奇とサルモン
「皆さんおはようございます。本日もモンスター解説動画始めていきたいと思います」
『始まった』
『うぽつ』
『出席~』
いつものように姉須戸のモンスター解説動画が始まり、学校の授業のように開始の挨拶をする視聴者のコメントが書き込まれる。
「本日最初に解説するモンスターはこちらです」
『うげっ、虫系かよ!』
『うわー、気持ち悪い』
『虫系には耐性あると思ってたけど、このサイズはキモい』
姉須戸がリモコンを操作してモニター画面に表示させたのは全長四メートルの白くブヨブヨとした皮膚の巨大なミミズだった。
配信コメント欄では虫系に耐性のない人たちの悲鳴コメントが次々と流れていく。
「このモンスターの名前はサルモンといいます。出没場所は洞窟系ダンジョンで、基本的にノンアクティブです」
『基本的に? つまり、何らかの条件でアクティブになるの?』
「はい、サルモンは吸血タイプのモンスターで、怪我をしたり、戦闘などで血の匂いを漂わせると百メートル先から嗅ぎ付けて、襲いかかってきます」
姉須戸はサルモンと言うモンスターが攻撃的になる条件を解説する。
『百メートル先からとかパネェ』
『モンスターって五感のどれかが異常発達してるの多いよね』
『場所によって戦闘不可避だな』
『ノンアクティブが付け焼き刃程度に聞こえてきた』
「さて、サルモンの攻撃方法ですが、頭にあたる部分に円形の口があり、そこから注射器の針のような舌を無数に伸ばして血を啜ります。また、血を吸う時はその巨体を巻き付けて、果実の汁を絞り出すように締め付けます」
『うわぁ………想像したら鳥肌たった』
『体格ってそれだけで武器になるよな』
『別モンスターに巻き付かれた時、鎧が圧壊する音が聞こえて、それがトラウマ』
『良く生きてたな』
姉須戸がサルモンの攻撃方法を解説すると、視聴者達から様々なコメントが書き込まれていく。
「一番気を付けてほしいのは、サルモンは傷つけられると傷口から体液を噴射します。サルモンの体液は酸性ですぐに水で洗わないと焼けます」
『うわー、戦いたくねえ』
『近接殺し系かよ!!』
『巻き付かれた時、絶対斬りつけて助けようとするから、二次災害が酷いことになるな』
姉須戸がサルモンについて追記する。
「サルモンには特に弱点はありません。強いて言えば遠距離から攻撃するのが一番被害が少ないかと。ドロップ品ですが、魔石と酸性の体液が手に入ります」
『サルモンの魔石買い取り値段は悪くないか?』
『遭遇率と体液対策すれば悪くはないかな?』
『でもあまり積極的に戦いたくないな』
『わかる』
姉須戸がサルモンの倒しかたやドロップ品について解説する。
「さて、サルモンについてはこれぐらいで、次のモンスターの解説に移りたいと思います」
姉須戸はそう言うと次のモンスター解説の準備に入った。
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