第125話 姉須戸・トンプソン・伝奇とサーリーン
「次に解説するのはこちらのモンスターです」
『女性の形をした水?』
『ウィンディーネ?』
『セイレーン?』
姉須戸がリモコンを操作してモニター画面に表示させたのは人間の女性のようなシルエットをした水だった。
「サーリーンと呼ばれる水棲モンスターで、主な出没場所は湖など広範囲に水があるダンジョンです」
『これで火山地帯とかに出たら笑う』
『いや、見た目のイメージと出没エリアがちぐはぐなモンスターそこそこいるぞ』
「サーリーンの攻撃方法ですが、かなり多種多彩です。まず魅了の歌と呼ばれる精神攻撃で探索者を魅了して水場に誘い溺死させようとします」
『セイレーンやないけ!』
『歌は最悪耳塞げば耐えれる』
『本格的な耳栓や大音量鳴らすイヤホンで対抗してたな』
『過去に破壊兵器並みの音痴が歌って、逆に相手を黙らせた探索者もいたな。将来の夢は歌って踊れるアイドル探索者だった』
姉須戸がサーリーンの攻撃方法の一つである魅了の歌について解説すると、その手の攻撃に対する対策を視聴者達が書き込んでいく。
「はい、歌系の攻撃は聞かないのが一番です。サーリーンの他の攻撃は、相手に触れることで判断力を低下させる迷いの手、短時間ですが姿を消したり、人間に化ける魔法を使って騙し討ち。あと水の包容と呼ばれる自分の体内に押し込んで溺死攻撃ですね」
『全体的に搦め手系か』
『事前情報ないとハマってやられそうだな』
『溺死はいやだなあ』
姉須戸がサーリーンの攻撃方法を次々と解説していく。
「弱点は炎系の魔法や、大量の乾燥剤などで体積の水を蒸発させるのが最も有効的です」
『あー、探索者組合のショップに業者単位で乾燥剤売ってたの、このためか?』
『たまになんでこんなの売ってるの?と言うのがあるよな』
『俺、姉須戸先生の動画見るまでショップの店員商売下手くそだなと勘違いしてた』
姉須戸がサーリーンの弱点について解説すると、コメント欄は探索者組合のショップのラインナップについての話で盛り上がる。
「さて、サーリーンのドロップ品は、水です。と言ってもただの水ではなく、服用すると一定時間五感が鋭敏になるバフアイテムです」
『お、これは良さそう』
『自分で使うにもいいな』
『バフ系アイテムってなかなか売ってないからな』
姉須戸がサーリーンのドロップ品について解説すると、コメント欄が騒がしくなる。
「さて、次のモンスターの解説に移りたいと思います」
コメント欄が落ち着いたのを見計らって姉須戸は次のモンスターの解説に移った。
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