第122話 姉須戸・トンプソン・伝奇とサラマンダー


「次に解説するモンスターはこちらになります」


『おっ、こいつか!』

『おー、金策モンスター』

『こいつがいるダンジョン混むんだよな』


 姉須戸がリモコンを操作すると、モニター画面には全身炎に包まれた蜥蜴の頭、人間の胴体、蛇の下半身と言うモンスターの姿が映像に映る。


 視聴者の一部はそのモンスターを見るとテンションが上がったように騒ぎ出す。


「サラマンダーと呼ばれるモンスターです。主な出没場所は火山や砂漠などのダンジョンです。主な攻撃方法は、炎系の魔法やブレス、手にもった武器、尻尾を巻き付けての締め付けです。どちらの攻撃にも火属性がのり、火傷などの継続ダメージを受けます」


 姉須戸はそう言ってリモコンを操作すると、成人男性サイズのマネキンがサラマンダーに攻撃されて黒こげになる映像を見せる。


『サラマンダーの攻撃はヤバイんだよな』

『でもその危険を上回る美味しさ』

『ただ、時おり返り討ちにあって大火傷で運ばれる探索者もそこそこ』


 姉須戸がサラマンダーの攻撃方法を解説すると、視聴者達からコメントが書き込まれていく。


「弱点は氷魔法や液体窒素、持ち運べるなら大量の水に弱いです」


 姉須戸はまたリモコンを操作して、サラマンダーに氷魔法を当てる映像を流す。


 画面の中の姉須戸が氷系の魔法を唱えて生成した巨大な氷柱をサラマンダーにぶつける。


 サラマンダーに氷柱が命中するとジュワッと言う音と共に命中箇所から水蒸気が吹き出し、サラマンダーが苦しみもがく。


「サラマンダーのドロップ品ですが、皮とレア確率ですが火属性のついた魔法武器がドロップします」


『皮は耐火、耐熱性があって用途が広い』

『今の消防隊の防火服ってサラマンダーの皮が使われてたよな?』

『サラマンダーの皮で作った防具があれば、火魔法とかにもある程度耐えれる』

『買取価格もかなり上位に入るよな』


 姉須戸がサラマンダーのドロップ品について解説すると、コメント欄は大いに盛り上がる。


『魔法武器がドロップすれば、大当たり!』

『ほとんどのやつは自分で使おうとして市場になかなか出回らないけどな』

『出回っても数百万から数千万単位で買えねえ』

『魔法武器とかほんと天井知らずだよな』

『魔法の武器は下手すると揉めるからなあ』

『ガチ殺してでも奪い取る案件もあったな』


「さて、今日のモンスター解説動画はここまでとします。お疲れさまでした」


『乙カレー』

『今日もためになったな』

『起立、きょうつけ、礼』


 姉須戸が配信終了を宣言するとサラマンダーのドロップ品で盛り上がっていたコメント欄も落ち着いて、配信終了を労うコメントにシフトしていく。


「それでは皆さんまた次回お会いしましょう」


 姉須戸はそう言うとお辞儀をして、配信を終了した。

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