第121話 姉須戸・トンプソン・伝奇とサボテンマン
「それでは次に解説するモンスターはこちらになります」
『ゲェーッ、サボテンマンッ!!』
『また砂漠系モンスターか』
『うわ、こいつか………』
『美味しくないモンスターなんだよなあ、こいつ』
姉須戸がリモコンを操作すると、モニター画面に砂漠の風景が映り、人の形をした動くサボテンが画面に現れる。
動くサボテンをみた瞬間、大抵の視聴者達はまるで台所でゴキブリをみたような嫌悪の反応をする。
「このモンスターの名前はサボテンマン。砂漠系ダンジョンに出没するモンスターで、映像のようにサボテンに擬態します」
姉須戸が解説するように映像のサボテンマンも砂に足を埋めてサボテンに擬態する。
「攻撃方法は主に擬態して近づいてきた獲物に抱きついてサボテンの針を刺してきます。サボテンの針には麻痺毒があり、獲物を痺れさせてじっくりと体液を奪います」
姉須戸がリモコンを操作すると、モニター画面が切り替わり、サボテンに擬態したサボテンマンに鶏を近づけさせる。
ある程度鶏が近づくと、サボテンマンは正体を露にして、鶏に抱きついて全身の針をさす。
『そんな皆が嫌がる理由がわからんな?』
『擬態は厄介だけど、この程度なら他にも似たモンスターいるよな?』
サボテンマンの攻撃方法をみていた一部の視聴者が疑問をコメントする。
「探索者がなぜサボテンマンを嫌がるかと言うと、下手に攻撃すると爆発して四方八方に体液と針を撒き散らします。体液は他のモンスターを呼び寄せ、針は先程も言ったように麻痺毒があります」
『初めて遭遇した時、擬態解く瞬間にびびって攻撃したら爆発、全身に体液ぶっかけられるわ、防具で守られてない部分に針が刺さるわ、臭いでモンスターよってくるわ最悪だった』
『ちゃんとした防具装着してたらサボテンマンの針は怖くないが………脱ぐ時に鎧に刺さったサボテンマンの針で怪我する事故がな』
『臭いもなかなか取れなくて、最悪装備廃棄』
『何がいやかと言うと、爆発したサボテンマンは名にもドロップしねえんだよ』
サボテンマンをよく知らない視聴者の疑問に、サボテンマンと交戦経験のある視聴者アカウントが答える。
「サボテンマンは砂漠系モンスターの中でも最弱で、爆発することを除けば登録したてのFランクでも倒せます」
姉須戸も視聴者達の会話に混ざるように補足説明をする。
『ドロップ品得るにはどうすれば?』
「はい、植物系モンスターなので枯れ葉剤が有効です。また氷魔法や液体窒素などで瞬時に冷凍すれば爆発しません」
『経験者として言っておくが、労力に見合わないぞ、回避できるなら無視しろ』
『ドロップ品もそこまで価値があるわけではない』
姉須戸がサボテンマンを爆発させずに倒す方法を伝えると、視聴者の一人が戦うなとアドバイスしてくる。
「サボテンマンのドロップ品ですが、針と果肉、魔石です。どちらもあまり価値がなくとんとんになればラッキー程度ですかねえ?」
姉須戸もサボテンマンのドロップ品相場を知っているのか、苦笑しながらオブラートに包んだ表現をする。
「さて、次のモンスター解説に移りますか」
サボテンマンの話はここまでとばっさり切るように、姉須戸は次のモンスターの解説準備に入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます