第120話 姉須戸・トンプソン・伝奇とサンドマンタ
「次に解説するモンスターはこちらです」
『でかっ!?』
『また砂漠系モンスターか』
『こいつ砂漠泳いでね?』
『砂漠系ダンジョンであまり会いたくないモンスター筆頭だ』
姉須戸がリモコンを操作してモニター画面に映像を流す。
映像には、砂漠の砂をまるで水のように泳ぐ巨大なマンタの姿が映し出されていた。
「サンドマンタと呼ばれるモンスターで、砂漠系ダンジョンにのみ出没する全長五メートル前後の巨大マンタです」
『倒せるのか?』
『こいつピンチになると砂の中に潜るから厄介』
『砂の中泳ぐの早いのも厄介』
姉須戸がサンドマンタについて解説を始めると、交戦経験があると思われる探索者アカウントからのコメントが書き込まれていく。
「サンドマンタの主な攻撃方法ですが、体当たり、口から砂を吐き出す、ピッケルのような棘だらけの尻尾を叩きつけます」
姉須戸はそう言ってリモコンを操作すると、サンドマンタの攻撃方法をとらえた映像を流す。
『どの攻撃も痛いんだよな』
『砂吐き攻撃は、運が悪いとサンドペーパーみたいに皮膚や肉を削られてめっちゃ痛い』
『尻尾の棘も洒落にならない。一撃で盾貫通した』
『よく生きてたな』
サンドマンタの攻撃方法を姉須戸が解説すると、攻撃を受けたことがある視聴者が経験談をコメントする。
「先程視聴者の方がコメントしていたように、サンドマンタはピンチになると砂に潜って逃げますし、砂の中に潜航して音もなく近づくこともあります」
『姉須戸先生、対策あります?』
姉須戸がサンドマンタの砂潜りについて解説すると、視聴者の一人が質問コメントを書き込む。
「探索者組合で販売されている音響爆弾がお勧めです。彼らは砂の中でも獲物の位置を確認するために聴覚が非常に優れ、皮膚も振動を感じ取れるように敏感です」
姉須戸は質問に答えながら、音響爆弾をサンドマンタに使う映像を再生する。
爆弾が爆発して爆音が砂漠に響くと、サンドマンタが噴水のように砂の中から飛び上がり、陸に上がった魚のようにビチビチ跳ねたかと思うと、口から泡を吹いて動かなくなる。
『こんな方法あったのか………』
『もっと早く知りたかった』
『うーん、荷物に余裕あるし、何個か買うか?』
「サンドマンタの弱点は今の映像のような強い音です。また寒さに弱いので周辺の砂地に氷魔法を当てて温度を下げると熱を求めて浮上してきます。背中部分は固いですが、逆に腹部は柔らかく、女性が手にしたナイフでも容易に傷つけれます」
『ほうほう』
『俺、氷魔法使えるからいけそうだな』
姉須戸がサンドマンタの弱点について解説する。
「ドロップ品ですが、肉とヒレ、尻尾です。肉は臭みが強いので不人気ですが、ヒレはフカヒレのような高級食材になります。また、尻尾は加工することでピッケルのような武器になります」
『ヒレ狙いでサンドマンタに挑むやついるけど、ヒレはレアドロップ扱いなんだよなぁ』
『サンドマンタの尻尾武器は結構お勧めだぞ』
姉須戸がサンドマンタのドロップ品について解説すると、視聴者達からコメントが書き込まれる。
「さて、今回はもう少しモンスターの解説を続けさせてもらいます」
姉須戸はそう言うと、次のモンスターを解説しようとリモコンを手に取った。
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