第119話 姉須戸・トンプソン・伝奇とサンドフロッグ
「次に解説するモンスターはこちらです」
『? どこだ?』
『ただ岩砂漠が続くだけだけど?』
『放送事故?』
『いや、多分擬態系だと思う』
『マジでどこだ?』
姉須戸がリモコンを操作してモニター画面に映像を流す。
画面には何処かの岩砂漠と思われるダンジョンの風景が映るだけでモンスターの姿はどこにもないように見える。
「正解はここです」
映像の中でラジコンカーが走りだし、岩の一つを通りすぎようとすると、岩が剥がれるように動いて長い舌がラジコンカーをからめとって食べられる。
姿を表したのは軽自動車サイズの巨大な蛙。
背中には岩に見えるイボが無数に生えており、前部の皮膚の色も砂地に似た色で、動かなければ岩砂漠の岩の一つと勘違いしそうだった。
「サンドフロッグと呼ばれるモンスターで、主に岩砂漠系のダンジョンに出現します」
『擬態系モンスターはマジで厄介だな』
『出没情報があっても見える訳じゃないからなあ』
『こいつじゃないけど、擬態系モンスターの不意打ち食らって逃げ帰ったことある』
サンドフロッグが姿を現す映像をみた視聴者達が口々にこれはわからないとコメントを書き込んでいく。
「攻撃方法は舌による打撃、跳躍して背中の岩のようなイボで押し潰すプレス攻撃をメインとしています。また、舌先には麻痺毒があり、皮膚に触れると麻痺しますので気を付けてください」
姉須戸はリモコンを操作すると、サンドフロッグが攻撃を行うシーンが再生されていく。
「背中のイボは固く、攻撃するなら全面の腹部を狙うといいでしょう。麻痺毒は舌の先端のみなので、延びきった舌のこの部分を触れれば安心です」
姉須戸はまたリモコンを操作して、剣でサンドフロッグのイボを叩く映像や、伸びた舌を掴む映像を流す。
「弱点としては環境の関係からか冷気には弱く、氷系魔法を当てるとあからさまに動きが悪くなります」
『姉須戸先生、擬態を見破る方法はありますか?』
姉須戸がサンドフロッグについて解説していると、視聴者の一人が質問コメントを書き込む。
「一番楽なのは、先程の映像で見せたようにラジコンなどを囮にすることです。擬態系モンスターは音や振動、攻撃範囲に入った動くものに反応する習性があるので、逆手にとるといいです」
『ありがとうございます』
姉須戸はラジコンカーが襲われるシーンまで映像を巻き戻して解説する。
「サンドフロッグのドロップ品ですが、皮、肉、舌が手に入ります。皮はこういった岩砂漠などのカモフラージュ装備に使われ、肉や舌は珍味として食されてます」
『舌は毒大丈夫なのか?』
姉須戸がサンドフロッグのドロップ品について解説すると質問コメントがくる。
「舌の毒ですが、ドロップ品にはなぜかありません。現段階では毒にあたったと言う報告もありません」
『ここらへん不思議なんだよな』
「さて、サンドフロッグについてはこれくらいで、次のモンスターの解説に移りたいと思います」
姉須戸はそう言うと、次のモンスター解説の準備に入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます