第62話 姉須戸・トンプソン・伝奇と剃刀蛇と剃刀鷲と剃刀飛魚
「また新たなモンスターのようですね」
Dランクダンジョンを探索している姉須戸は、また新たなモンスターを発見して足を止める。
『蛇に鷲に………なんで魚が飛ぶの!?』
『まじで空飛んでる』
『ダンジョンでであったらぎょっとしそう』
『魚だけに?』
『ごめん、ギャグじゃなくて、素でいったことだから』
配信視聴者達の書き込まれたコメントのように、現れたモンスターの見た目は蛇に鷲、そして空を飛ぶ魚だった。
「あれは剃刀と言う名前がつくモンスターですね。名前のとおり体の一部が剃刀のように鋭いです」
『確かに蛇は牙と鱗が尖ってね?』
『鷲は翼と嘴が刃物になってる』
『魚は飛び魚みたいなひれが鋭そう』
姉須戸に言われて視聴者達がモンスターの体の一部が剃刀になっていると指摘する。
「剃刀蛇は茂みや岩壁の穴に潜み、近づいた獲物に巻き付いて剃刀の鱗で切り裂きます。特に岩壁を上ってるときに、指やザイルを切られて滑落したなんて話もあります」
『地味に強い』
『下手に壁とか上れなくなる』
「剃刀鷲はその翼と嘴によるヒット&アウェイで獲物をズタズタに傷つけて失血死を狙ってきます」
『こいつらの剃刀部分かなり鋭くて、下手な武器だと切断されたりするからな』
『うちのチーム、正体知らなくて適当に木の棒で追い払おうとしてスパッと切られてたな』
「最後に剃刀飛び魚ですが、見てわかるように陸海空どのエリアでも生息できます」
『厄介だな』
『漁港がある町でスタンピード起きて、剃刀飛び魚が近海に住み着いて、漁師の釣糸や網を切り裂いて甚大な被害だした事件あったな』
『あれで一時期魚が凄い値上がりしたよな』
姉須戸がモンスターの解説をすると、遭遇した人や過去に起きた事件などがコメントに書き込まれていく。
「あのモンスター達には弱点はないので、剃刀部分にさえ気を付ければ問題はないでしょう」
姉須戸はモンスター達の攻撃を避けながら解説を続ける。
「この魔法を使えるとかなり戦闘は楽になりますよ。
姉須戸が魔法を唱えると、モンスター達の剃刀部分が急激に錆びていく。
「剃刀と言う名前をもつモンスター達は剃刀部分が欠けたり錆びたりすると、一気に弱体化します」
姉須戸が解説するように、剃刀蛇は衰弱したような弱々しい動きになり、剃刀鷲と剃刀飛び魚は空を飛べなくなって、地に横たわる。
「こんな感じで討伐が楽になるので、お薦めですよ」
姉須戸はそう言いながら杖でモンスター達を突き刺してトドメを刺していく。
「ドロップ品は剃刀化している部位です。蛇なら鱗、鷲は嘴や羽、飛び魚はひれですね」
『剃刀蛇の鱗はガントレットに張り付けて、擦り付けるだけで相手をズタズタにできるのが売ってたな』
『ちなみに髭剃りにも人気』
『剃刀鷲の嘴をピック部分に取り付けて戦ってたやつがいた』
『羽を加工して投げナイフにしてた』
『なにそれ格好いい!』
『ひれは加工して布切りや皮切りカッターにしてるのが多いな』
姉須戸が剃刀モンスター達のドロップ品を解説すると、配信視聴者達がドロップ品の加工先をコメントしていく。
「あ、そうそう! 剃刀のドロップ品ですが、一つ注意事項があります。適当に素材袋とかにいれると袋や他の素材がズタズタになるので、別に分けたり管理を徹底してください」
姉須戸は最後に注意事項を配信視聴者達に伝えると、ダンジョン探索を再開した。
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