モンスター名:か行

第61話 姉須戸・トンプソン・伝奇とガーゴイルとガルグとカルアス


「皆さんおはようございます。本日もDランクダンジョンを探索したいと思います」


『待ってました』

『配信キター』

『頑張ってください』


 いつものようにダンジョン探索の配信を始めた姉須戸はドローンカメラに向かってお辞儀をして挨拶をする。


「早速モンスターが現れたようですね」


 ダンジョン探索配信を始めて十分もたたないうちに姉須戸は三体のモンスターと遭遇する。


 一体は身長三メートルもある力士体型のオーク。よくみてみると、全身にイボや角が生えており、オーガのような特徴がある。


「あれはガルグと呼ばれるオークとオーガを掛け合わしたようなモンスターですね。オークとオーガの特徴をあわせ持つタフで怪力です」


『地味に強い』

『疲れてる時にこいつと出会うと逃げの一手』

『弱点らしい弱点もなく、攻防に優れてるから厄介』


 姉須戸がガルグを紹介すると、過去に遭遇したことのある視聴者達からのコメントが書き込まれていく。


「もう一体はガーゴイルですね。普段は石像に擬態して探索者を油断させて奇襲します。飛行能力があり、地味にこれが厄介です」


『俺こいつ嫌い』

『こいつの擬態見破れなくて奇襲受けて撤退する羽目に』

『ガーゴイルとのコンボで石像郡にガーゴイルと叩くと罠が発動する像混ぜられたりする』


 二体目は石像でできた翼の生えた鬼のようなモンスター。

 ガーゴイルの擬態にやられた探索者が多いのか、愚痴のようにコメントが書き込まれていく。


「最後はカルアスと言う蛇人間のモンスターですね。蛇人間タイプのモンスターはカースト制度みたいな階級があり、カルアスは最下層の戦士です」


『こいつはあんまりみたことないな』

『蛇人間タイプのモンスターはカースト階級で強さが違うんだよな』

『そうそう、上の階級だと魔法とか使ってくる』


 三体目はチロチロと先割れした舌を出し入れする蛇の頭と全身に鱗が生えた人間で、その手には剣と盾が握られていた。


「三体とも特に特殊能力はなく爪や手に持った武器で攻撃してきます」


 ガルグは人間からみれば柱サイズの棍棒で、ガーゴイルは手に生えた爪で、カルアスはその手に持った剣で姉須戸を攻撃してくる。


『ガルグの棍棒の風切り音半端ねぇ!!』

『ガーゴイルは空を飛ぶから厄介』

『カルアスも強いけど、ガルグと比べると地味だな』

『それ以上にそれを全部回避してる姉須戸先生の身体能力と動体視力も凄くね?』


 配信視聴者が言うように、姉須戸は三体のモンスターの攻撃を掻い潜っている。


「モンスター達の弱点ですが、ガーゴイルは音波などの衝撃波に弱いです。音の槍サウンドランス!」


 姉須戸は攻撃を回避しながら魔法を唱える。

 不可視の音の槍がガーゴイルに命中すると、命中した箇所からヒビが広がっていきボロボロに崩れ落ちる。


「カルアスは元が蛇なので、寒さに弱いです。氷柱アイスコファン!」


 姉須戸が魔法を唱えると、カルアスの足元に霜が発生したかと思うと、早送りのように氷が生成されてカルアスを氷の柱に閉じ込めていく。


『そんな氷付けしたら寒さ云々関係ないような?』

『それ以前に普通のDランクの魔法使いはあんなに早くあのサイズの氷の柱を生成できないからな』


 氷付けになったカルアスを見た配信視聴者達がツッコミのコメントを書き込んでいく。


「ガルグは特に弱点はありません。強いて言えば物理耐性が強いとも言えるので、可能なら魔法で倒しましょう。氷の雨アイスレイン


 姉須戸が魔法を唱えると、氷つけになったカルアスの氷柱から次々と尖った氷が射出されて、ガルグは蜂の巣のように貫かれて霧散化していく。


「さてドロップ品ですが、ガーゴイルからは魔石のみです。ガルグからは防具に適した皮。カルアスからは鱗と牙が手に入ります」


 ア姉須戸は倒したモンスター達のドロップ品を配信視聴者達に紹介していく。


「それでは先に進みましょうか」


 モンスターの解説とドロップ品の説明を終えた姉須戸はダンジョン探索を再開する。

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