第59話 姉須戸・トンプソン・伝奇とオンモラキと鬼とオリアス
「おや、鳥が………いや、オンモラキですね、あれは」
Dランクダンジョン第二階層を探索していた姉須戸は、木の枝に止まってこちらを睨んでる骨で出来た鳥を見つけて名前を解説する。
「日本の妖怪がベースのモンスターで、正しく埋葬されなかった死体がオンモラキと言う禍津鳥になって不幸を撒き散らすと言われています。あと都市伝説ですが、遭遇するとドロップ率が悪くなるそうですよ」
『よし、絶滅させよう』
『そうか、あの時ガチャ外れたのはこいつのせいか』
『ドーモ、オンモラキ=サン。ジヒハナイ』
『この配信見てる俺らもドロップ率が落ちたりして』
『おいばか、やめろ』
姉須戸がオンモラキについて解説し、都市伝説でささやかれる遭遇するとドロップ率が悪くなるネタを話すと、コメント欄がオンモラキに対するヘイトコメントで埋まっていく。
「けぇーっ、ケッケッケツ!」
オンモラキは骨だけの羽を広げて泣き叫ぶと、別方向からモンスター達がやってくる。
「ふむ、オンモラキには他のモンスターを呼び寄せる能力があるのですか」
『姉須戸先生でも知らないことあるんだ』
『モンスター学はまだ歴史の浅い学問だし』
『モンスターの生態もテイムするかダンジョンで観察しないとわからないもんな』
オンモラキに世ひ寄せられたモンスターは二体。
片方は赤褐色の肌に虎縞の腰巻きと金棒をもった角が生えた人型モンスター。
もう片方は体の前半分がライオン、残り半分が馬、尻尾が蛇と言う合成モンスターだった。
「ふむ、金棒を持ったのは日本の昔話によくでてくる鬼ですね。あちらのキメラみたいなのは………オリアスと言うモンスターです」
姉須戸が解説していると、モンスター達が襲い掛かってくる。
「オンモラキはあの外見で炎を吐いてきます。弱点は鈍器や衝撃波です」
オンモラキは羽を広げて嘴を開くと火の玉を姉須戸に向かって吐き出していく。
姉須戸は右へ左へ走って火の玉を回避しながら解説を続ける。
「鬼の攻撃方法は見た目通り金棒を振り回します。伝承通り炒めた豆や焼いたイワシの匂い、柊の葉を嫌いますが、苦手なだけで弱点らしい弱点はないです」
『前もって出現情報とかないと持ち歩かないなあ』
『鬼とオーガってどう違うんだろう?』
『つか、金棒の振り回す音がやべぇ!』
オンモラキの攻撃にあわせるように鬼が金棒を振り回す。
姉須戸は大きく後方に飛んで金棒を回避するとインバネスコートのポケットにてを入れる。
「鬼は外!」
『いや、何で炒った豆もちあるいてるのっ!?』
『そのポケット、本当に容量おかしい』
『あ、豆当てられた鬼が嫌がってる』
姉須戸はポケットから炒った豆を取り出して鬼に投げつける。
豆を投げつけられた鬼は金棒で豆を受けたり、身を竦めて豆から逃げようとする。
「グルルル………」
「オリアスはあの見た目で魔法を使ってきます。予兆として口を開けて唸り声を上げたら、魔法を唱えてると思ってください。
オリアスが唸り声をあげるとライオンの鬣の周囲から氷の矢が無数に現れて飛んでいく。
姉須戸は予測していたのか魔法の盾を生成してオリアスの氷の矢の魔法を防ぐ。
「オリアスは私は扱えませんが、聖なる攻撃に弱いです。それ以外は普通のモンスターと変わりません。
姉須戸が魔法を唱えると、杖を持っていない方の手に雷で出来た投げ槍が握られる。
姉須戸は狙いをつけてそれをオリアスに向けてなければ、姉須戸の手を離れた瞬間、視聴者達が瞬きする一瞬でオリアスに刺さり、雷によって黒焦げになって崩れていく。
「
姉須戸は鬼とオンモラキに振り返ると、杖を地面に突き刺して魔法を唱える。
すると、突き刺した杖を中心に一本の桃の木が早送り映像のように即座に生えて、枝や根が鬼とオンモラキを貫くと、霧散化してドロップ品に変わっていく。
「オンモラキのドロップ品ですが、魔石のみです」
『しょっぱいなあ』
『そこそこの値段で売れるけど、追加ででてくる素材とかが大きな収入源だからなあ』
『人のドロップ率下げて、本人のドロップ品も微妙』
オンモラキのドロップ品を解説すると、今一つ配信視聴者からの受けは悪い。
「鬼からは金棒や角、レアドロップ扱いで腰巻きが手に入ります。今回は金棒でしたね」
『金棒はそのまま武器として使えるけど、重たい』
『金棒はグズ鉄として売ってる』
『角は錬金術素材で一時的な筋肉増強ポーションの材料とか』
『そういえばそれ飲んでボディビルの大会でて失格になったひといたな』
『ステロイド的な扱いだった』
『鬼の腰巻きは何でレア?』
『あれ腰に巻くと、筋力アップするのよ』
『デメリットなし、装備してるとずっと持続で買取価格が高い』
逆に鬼のドロップ品に関しては大盛り上がりと言った感じで、配信視聴者達がドロップ品の効能など説明していく。
「オリアスからはライオンの鬣や尻尾の蛇頭がドロップします。どちらも加工するとマジックアクセサリーになりますよ」
『加工代高いし、予約一年待ちなんだよな>マジックアクセサリー加工』
『職人技術だからなあ』
『ボタンひとつで加工できたらいいのに』
『上位の探索者は自前かコネで職人確保してる』
『簡易的な錬金術なら企業もやれるんだけどなあ』
配信視聴者達が言うように、モンスターからドロップする素材を加工できる職人の数は少なく、普通に注文すればかなり待つことになる。
「さて、もう少し探索を続けましょうか」
姉須戸はドロップ品を回収すると探索を続けた。
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