第41話 姉須戸・トンプソン・伝奇とウォーマシン達
「皆さんおはようございます。本日もEランクダンジョンの探索とモンスター解説していきたいと思います」
『よろー』
『うぽつあり』
『待ってました』
『授業始まった』
姉須戸はいつものスリーピースにインバネスコート、山高帽に杖のスタイルで配信開始の挨拶をする。
「今日はどんなモンスターと出会えますかね」
姉須戸はそう言いながらダンジョン探索を開始する。
「おや、早速モンスターが出てきたようですね」
『なんかカチャカチャ、金属音がするな』
『目が赤く光ってね?』
『なんだありゃ?』
配信開始して早々に進行方向から姉須戸に向かってやってくるモンスターの姿があった。
進行方向からやってきたのは一体は腕が剣に、もう一体は腕がクロスボウになっている二体の人型ロボットと、肩からランスのような槍を生やしたゴリラのようなロボット。
どちらも赤い単眼のカメラアイを光らせて姉須戸と対峙する。
「あれはウォーマシンですね。ゴーレムに近い金属生命体です。腕が剣なのがウォーソードマン、クロスボウがウォーアーチャー、ゴリラがウォーチャージャーです」
姉須戸が現れたモンスターの解説をすると、腕が剣になっているウォーソードマンが上半身を回転させて姉須戸に迫ってくる。
「ウォーソードマンの攻撃方法はあの通り、体を回転させて近づいてきます」
姉須戸はウォーソードマンから距離を取る。
するとウォーアーチャーが腕のクロスボウを構えてボルトを飛ばしてくるのを横に飛んで避ける。
「距離を取ると、アーチャーの遠距離攻撃、そして………」
姉須戸が着地した瞬間を狙うように、ウォーチャージャーが突進してくる。
「ウォーチャージャーが時速五十キロ前後で突進してきます。あの体格と重さ、そして肩の槍が危険なので突進を受け止めようとしないでください」
『連携をとってくるモンスターか』
『アーチャーがうざいんだよな』
『チャージャーの突進をタンクがうっかり受け止めてあちこち複雑骨折して全治半年になりました』
ウォーマシン達の攻撃を避けながら解説を続ける姉須戸。
捕捉するようにウォーマシンと戦ったことのあるアカウントがコメントを書き込んでいく。
「ウォーマシン達のめんどくさいところは、体が金属で出来ているので物理攻撃がききにくいことです。魔法攻撃がない物理攻撃のみの探索者だと戦闘が長丁場になります」
姉須戸はウォーマシンの固さを解説しながら杖でウォーソードマンを叩く。
固い金属音が響き、かなりの固さを誇っていることが伝わってくる。
「事前にウォーマシンと戦うならテルミットなど金属にダメージを与える手段を用意してください」
姉須戸はしゃがんだり飛び退いたり、飛び越えたりして三体のウォーマシンの攻撃を掻い潜る。
「魔法なら大抵ダメージを与えますが、この魔法が使えるならお勧めです。
姉須戸は魔法を唱えながらコートを翻す。
するとコートの翻しから起きた風が竜巻となってウォーマシン達を包み込む。
竜巻に包まれたウォーマシン達は姉須戸に攻撃しようと動くが、一本足を前に出したウォーソードマンの足が急速に錆びて折れる。
ウォーアーチャーはクロスボウで狙おうとするが、クロスボウが錆びて破裂して腕を失う。
ウォーチャージャーは竜巻の中で突進しようとくるが、姉須戸に近づく毎に体のあちこちが錆びて崩れ落ち、朽ち果てていく。
「このように金属生命体なので錆が弱点になります。ドロップ品はツゴウイイニウムと呼ばれるダンジョンでしか手に入らない金属の塊です。今はいくらで売れますかね?」
『サイトみてきたけど、今は十キロ単位で二万だって』
『うーん、金属の塊だから持ち帰るのしんどいな』
『今回はまだ入口付近だから持ち帰って再度探索出来るけど、奥の方だと拾うの悩む』
姉須戸はウォーマシン達のドロップ品を解説すると、配信視聴者達が買い取り相場を調べてくれる。
「今はその額ですか。一旦地上に戻って売却して探索再開しますね」
『はーい』
『重さに腰とかやられないように』
『いってらー』
姉須戸は一端配信を止めて、ウォーマシン達のドロップ品を売りに地上へ戻った。
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