第39話 姉須戸・トンプソン・伝奇とイヒカとイソラ
「おや、湖ですね」
Eランクダンジョン第二階層の岩高原を探索する姉須戸は大きな湖を見つける。
『結構綺麗だな』
『こういうダンジョンの水って飲めるのか?』
『止めとけ』
『自前の水飲んどけ』
『仮に飲むとしても煮沸と濾過しろ』
配信視聴者達も湖の広さや透明度に目を奪われていたが、視聴者の一人が飲用可能か聞くと、全力で止めにはいる。
「他の皆さんも言っているように、お勧めしません。大抵モンスターが生息しているので、下手に近づくとこうなります。
姉須戸は解説しながら魔法を唱える。
すると姉須戸がもう一人現れて、湖に近づき水辺を覗き込もうとする。
ドローンカメラが魔法で産み出された姉須戸を背後から追いかけると、水面に影が現れたかと思うと二体のモンスターが虚像の姉須戸を水底に沈めようと組み付こうとする。
だが虚像の魔法で作られた姉須戸にモンスター達が触れた瞬間、姉須戸の姿は消えてモンスター達は空を切る。
「あれはイソラ、イヒカ、そしてイギと言うモンスターですね。以前遭遇した淡水に生息するアズミの眷属に該当し、魚に人間の手足がついたのがイソラ、青白い鱗肌の人間に近い外見がイヒカです」
『アズミの眷属かあ』
『アズミより魚成分が強いのがイソラ、アズミより人成分が強いのがイヒカと覚えたらいいかな?』
姉須戸が湖から現れたモンスターについて解説すると配信コメント欄には視聴者達のコメントが書き込まれていく。
イソラとイヒカは解説している姉須戸に気づくと襲いかかろうとする。
「イソラの攻撃方法は噛みつきや口から吐き出す鉄砲水です。鉄砲水を吐く時の全長として口が大きく開くのでそれが合図です」
姉須戸がイソラの攻撃方法を解説すると同時に、イソラが水鉄砲を撃つ仕草をして吐き出す。
姉須戸はそれを回避するが、背後にあった岩に穴が空いており、かなりの威力があったことが予測できた。
「イヒカの攻撃は徒手空拳による格闘攻撃や水場が近いなら組み付いて水没させようとします。一番気を付けないといけないのは電撃攻撃で、背びれが淡く光って放電し始めたら逃げるか───」
姉須戸が解説している最中にイヒカの背びれが淡く光って放電し始め、口から電撃を放つ。
姉須戸は素早く地面に杖を突き刺すと飛び退く。
するとイヒカが放った電撃は避雷針代わりになった杖に集中して地面に放電されていく。
「と、このように避雷針などを用意して回避してください」
『いや無理』
『判断が早すぎる』
『タイミングシビア』
『簡単そうにいうけど、無理だから』
姉須戸はイヒカの電撃攻撃の回避方法を伝えるが、配信視聴者のコメントは否定的な内容が多かった。
「イヒカやイソラには特に弱点はないので、普通に攻撃してください。
姉須戸が魔法を唱えると、バスケットボールサイズの火の球が生成され、それをイソラとイヒカにむけて放つ。
イヒカとイソラは火の球を回避しようと左右に飛ぶが、着弾と共に起こる爆発に巻き込まれて吹き飛び、霧散化していく。
「さて、イソラのドロップ品ですが鱗と鉄砲水を吐き出す内臓器官です。鱗はスケイルアーマーや爪ヤスリに使われます。鉄砲水の内臓器官は加工することで水圧銃の部品になるようですよ」
『魔石で動かす高圧洗浄機にそれ使われてたな』
『ほんとモンスター素材、色々使われてるな』
姉須戸がイヒカのドロップ品を解説すると配信視聴者達がコメントを書き込んでいく。
「イヒカからは電撃の発生器官がドロップします。加工することで電撃属性を付与した武器やポータル発電機の素材に使われています」
『属性武器は便利だけど高いんだよな』
『扱い方間違えると味方に火が出でるんだよな』
『電撃属性の武器が仲間に触れて感電とかな』
『ヒヤリハット一覧にものってるフレンドリーファイヤー事故』
姉須戸がイヒカのドロップ品を解説すると属性武器の事故の話で盛り上がる。
「さて、もう少し探索を続けましょうか」
姉須戸はモンスタードロップ品を解説し終えると探索を再開する。
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