第15話 姉須戸・トンプソン・伝奇とアーレーイニ
「おや、これは………」
アイアンイーターを倒し、Eランクダンジョンを探索する姉須戸は何かに気づいたのか足を止める。
『ん? どうしました?』
『またモンスター?』
『みた限りは誰もいないな?』
姉須戸が足を止めたのを見て、配信視聴者達は何か起きたのかとコメントを書き込んでいく。
「蜘蛛の巣です。どうやら蜘蛛型のモンスターが近くにいるようですね。ふーむ………」
姉須戸は杖で壁に張られていた古いクモの巣を巻き取り、ドローンカメラに見せると髭を弄りながら悩み始める。
『どしたん?』
『姉須戸先生何悩んでるの?』
『なんか迷う要素あった?』
「あ、いえ………蜘蛛型モンスターはかなり種類が多くて、どのタイプかと判別つかなくて………まあ見に行けばわかりますか」
『ほーん?』
『そんな種類多いんだ>蜘蛛型モンスター』
『Eランクだからそんな変なモンスターいないだろ?』
『どんなモンスターか解説して欲しい』
姉須戸は悩んでいた理由を視聴者達に伝えると、蜘蛛の巣かあった通路を進んでいく。
「あれはアーレーイニですね」
姉須戸が通路の行き止まりというか、蜘蛛の糸で通路が塞がれているエリアに辿り着くと、巨大な蜘蛛の巣に成人男性サイズの蜘蛛がいた。
アーレーイニの背中部分がぼっこりと盛り上がったコブがあり、蜘蛛の頭部は人の頭に近い形をしている。
前足の二本は人間の腕のようになっており、アーレーイニはカチカチカチと顎を鳴らしながら腕をうねうねと動かすと、姉須戸とアーレーイニの間で閃光が発生する。
『うおっ! まぶしっ!?』
『なんだ、今のはっ!?』
『フラッシュバンとか使った?』
「違います、アーレーイニの
配信コメント欄は突然のフラッシュに混乱したコメントが次々と書き込まれていく中、姉須戸は落ち着いた様子で今の閃光がアーレーイニが放った魔法だと説明する。
「アーレーイニは相手を撹乱させる魔法を使いますので気を付けてくださいね」
『いや、どうやって!?』
『気合い?』
『根性?』
『魔法抵抗を上げるダンジョンアイテムあるけど、最低でも十万よ?』
姉須戸はアーレーイニの魔法について注意するが、配信視聴者達からはどうしろと?と突っ込みが入る。
「キシャーッ!」
「おっと、
アーレーイニは魔法が効果ないとわかると、姉須戸に尻を向けて糸を吐き出す。
アーレーイニが吐き出した糸は投網のように展開して姉須戸を糸で拘束しようとする。
姉須戸は高山帽を押さえながら魔法を唱える。
すると投網状の蜘蛛の糸が突然引火して、蜘蛛の糸が一気に燃える。
「アーレーイニの特殊能力として投網状の蜘蛛の糸を飛ばして拘束します。可燃性で火をつけると一気に燃え尽きるので、仲間が拘束されたら火をつけてください」
『うーん、味方に火をつけるのは躊躇するな』
『仮に拘束されても、火をつけろとは言えない』
アーレーイニは魔法も糸も効果がないとわかると、口をカチカチと鳴らして噛みつこうとする。
「っと! アーレーイニは筋肉弛緩系の蜘蛛毒を持っています。噛みつかれると餌として巣に連れ込まれて大変なので、噛まれないように」
姉須戸は杖でアーレーイニを牽制しながら視聴者に向けて注意事項を述べる。
「アーレーイニは火に弱いので、魔法が使える人は火の魔法が有効打になります。
「ギッ!?」
姉須戸はアーレーイニの口元目掛けて炎の矢を射ち放ち、アーレーイニは炎の矢を飲み込んでしまう。
すると、アーレーイニの腹部から臀部が膨らんだかと思うと、爆発四散する。
「アーレーイニのドロップ品で一番高く売れるのはこの蜘蛛の糸です。蜘蛛系モンスター全般にも該当しますが」
爆発四散したアーレーイニの残骸が霧散化していきドロップ品になると、姉須戸は蜘蛛の糸玉を手にしてドローンカメラに見せる。
「さて、探索を続けましょうか」
アーレーイニのドロップ品を回収した姉須戸は探索を再開する。
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