後ろ
「...おい!待って!!」
アルはとてつもない速さで去っていったので、さすがに俺も困惑した。
「はあ、じゃあ作戦の前に君に説明しなければならないことがある。」
ライドーはさらに困った顔で、疲れているようにも見えた。
「まずは私たちが何者なのか説明しよう。私たちは、イドス研究所と呼ばれる孤児院と研究所の二つの性質を持ったところで暮らしてた。」
「どうして孤児院なんだ?」
「その方がいかにも世の中に貢献する良い施設に見えるからじゃないかな。実際貢献はしている。けれど、そこにいる子供たちは世界中から攫われてきていて、研究室の実験材料だった。」
ライドーは一瞬うつむいて、顔を上げた。
「とある研究者は凄まじい発見をしたんだ。親からの愛を十分に受けられなかった子供に危険な薬品を投与すると、その子供は心を失い、強力な、自我装具と呼ばれる殻を形成するんだ。それを博士はイドスと名付けた。イドスは不思議な力を持っていて不可能を現実に押し上げることができた。研究所はそれを高く売って儲けていた。それをイヅが教えてくれたから、私たちはその孤児院から脱走できた。脱出した後、アルが復讐をしないかと提案したんだ。彼女はああ見えて陰湿で狡猾で根に持つタイプなんだ。私とイヅはかなり強い恨みを持っていたから、すぐに賛同して、イドス研究所を破壊したんだ。しかし、物足りなくてね。やがてイドスを所有する組織を全て壊したくなったんだ。正直、ぞっとするだろう。引き返すなら、今だ。」
「いや、もう、引き返せないよ。」
「そうだったな。」
彼はいつもの笑みを浮かべた。
「そういえば、イヅルヒはどうしてその研究所の秘密を知ってたんだ?」
「そうだな、それも含めてイドスについて深く説明しよう。今日、君にはイドスを持って出撃して貰いたいからね。まず、これ。」
そう言うと、彼は俺の後ろにある銀球に指を指した。
「これが、イドスなんだ。そして、イヅルヒもイドスなんだ。そして、これも。」
そう言うと、彼は銀球に槍を刺した。
すると、銀が沸騰し、破裂して地面に落ちた。
「イドスはイドスでしか破壊できないんだ。まあ、イヅルヒは少し違うけど。」
ライドーによるとイヅルヒは失敗作らしく、明確な意識を持ったイドスらしい。
「イヅの本体はガスだから、普段は話すことさえできないんだが、入れ物を手に入れさえすれば、イドスを食べて自分のものにできる。」
そして槍を俺の前に出した。
「大丈夫さ。イヅは簡単には死なない。戦うときは振り回すので精一杯だろうが問題ない、使い方はこいつが教えてくれる。ただ、こいつの声に流されちゃだめだ。」
俺は武器受け取った。
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