「協力して欲しいことって、何だ?」

俺はライドーの不思議な表情に目を向けて言う。

「まあ、協力は行き過ぎた表現だったかもね。」

少し間をあけて彼は口を開いた。

「私たちと、家族にならないか?」

俺は唖然とした。

「家族?どうしてそんなことを今言うんだ。今すぐにでもイヅを助けなければならないのに!」

「あいつは無事だよ。それに、今は私たちの方が危ないんだよ。」

外からなにやら聞こえてくるので、カーテンを開けると、地上にはたくさんの武装した者たちがいた。

「君は空を飛んだことはある?私は、ないんだ。目立つからね。でも今くらい目立ってたら天を駆けても問題ない。夢だったんだ。わくわくせずにはいられないだろう?そう、君には選択肢がある。人質としてここに残るか、共犯として飛び立つか。君はどちらか聞いているんだ。さあ!時間はないぞ!なんたって、言い訳を考えるために使う時間は長ければ長いほどいいんだから!」

俺は考えを巡らせようとしたが、すぐに中断し、即答した。

「俺も、その『家族』に入れてくれ!」

俺が迷ったとき、必死に考えて出した答えが功を奏したことはおそらくない。

なら、迷っても仕方がない。

既に答えは決まっていたのだから。

ライドーが窓を割り、手を差し伸べていた。

俺が手を伸ばすと、どんよりとした暗い空の星に向かってぶん投げられた。

肩の痛みに顔を歪めながら上を見ると、ライドーは夜空と同じ色の大鳥になっていた。

鳥はボルゾイと狼を混ぜたような細長く禍々しい顔を持ち、四つの翼と鉤爪を持ち、爪で俺を掴んで滑空している。

ライドーはぐわぐわ鳴きながら追手を振り切って街の外れの辺ぴな地域へ向かった。

アルは廃墟のような小屋にいた。

「遅いわよ!今までどこにいたの?」

「こっちの台詞だ。こうなることがわかっていたのなら共有して欲しかった。」

「私はただ、あの街が好きじゃないだけよ。」

「はあ、そうか。なら残念なお知らせだ。イヅが捕まったらしい。」

アルはしばらく沈黙した後、ゆっくりと口を開いた。

「そうなんだ、今回はただ観光したかっただけなのになあ。」

「思ってもないことを言うな。どうやらこの国の人工知能はイドスの技術が使われているらしい。どうする?」

「もちろん全部壊すに決まってるじゃない!この国の人を洗脳して支配するやつなんて殺してやりましょう!」

「ロージィ、君は何か情報を持っているか?」

「ああ、そういえばその人工知能を俺たちがやたらと狙ってるように思っていたようだから、おそらくイヅを半分こにしたやつは、その近くにいると思う。」

「イヅ大丈夫かなあ?有機フレームが腐ってないといいけど。」

「別に問題ないだろ。」

「それじゃあ先に行くわね!」

アルはすぐに小屋を離れていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る