アンハッピー労働タイム
午前と同じように作業をしていたとき、疲れた中年の人物が俺の後ろを通り過ぎようとしたが、足を止めて隣の猫耳を見た。
「おい、それはなんだ。」
「何?」
「貴様の作業は非常に遅く、雑で生産性が低く、効率が悪い。おそらく本日の目標さえ達成できないだろうから、明日からは来ないでくれ。最近は平等が当たり前という風潮が出来上がりつつあるが、やはり田舎人は礼儀知らずで信頼できない。これが差別だというなら好きにしてくれ。」
イヅが襲い掛からんとしたとき、割って入る人物がいた。
この顔は、見覚えがある。
昨日扉の前にいた男だ。
「こんにちは、イヅルヒさん。」
イヅルヒの目が大きく見開かれ、顔が驚愕の色に染まる。
男は俺たちにだけ聞こえるくらいの声で言った。
「確かに明日までに働いて欲しいとは申し上げましたが、まさか名前を偽っていたとは。」
彼はイヅルヒと俺を隣の客室に呼び出した。
男は部屋に入るとすぐに話し始めた。
「どうも、初めまして。わたくしはクラミツと申します。」
「どうでもいい!」
イヅは余裕がなさそうだった。
「どうか緊張なさらないで。わたくしはただ、あなた方と話がしたかっただけなのです。」
「お前と話すことなんてない!」
「わたくしにはあります。ワープ技術を使って大陸横断鉄道を作った『巨人運営』、世界の言語の壁を無くそうとした『バーバルの塔』、そしてそれらに技術を提供した『イドス研究所』。どうやら最近これらのような『イドス』の研究を活用した組織が壊滅させられる事件が起きています。我々の『紅鏡』も、その技術を活用して作られたものです。イヅルヒさん、はっきり言いましょう!あなた方は愚かだ!あまりに利己的だ!研究所、企業では飽き足らず、次は国を破壊しに来たのですか!しかしそのような事は決してさせません。話すことがないなら、力で追い出すだけです!」
そういうと彼は、イヅルヒの身体を真っ二つにした。
しかし、ふたつに分かれたイヅルヒは話し始めた。
「後ろのドアを開けろ!すぐに!」
俺は言われるままに扉を開けると、向こうにはライドーがいた。
「ロージィ!来い!」
俺が向こうへ移動すると扉はばたりと音をたたて閉まった。
「ライドー!イヅが...!」
「助けなければいけないね...ロージィ、君はイヅを助けたいか?」
「ああ!」
「...それじゃあ少し協力して欲しいことがある。」
そう言った彼の口角は不気味につり上がっていた。
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