2.ウエルカムトゥザ現世
「よし。ではアーロイース、この石盤に手を置きなさい」
「はい、父さま」
うちの部屋にぼくと同い年の子供が集められてる。みんなうちの領地で今年10歳になった子だ。
今日は初めて自分のステータスが見れるから、みんなわくわくしてるみたい。
ぼくは生まれつき魔力が多いらしいから、みんなからはひょっとしたら
恩寵スキルっていうのは生まれた時から持ってるスキルで、持ってるとそのスキルを使うために魔力を多く持って生まれることが多いらしいから。
踏み台に乗って、石盤に手を置く。こうすると今のステータスがわかるらしい。
ちょっと待つと、頭の中に何かが浮かんできた。それは名前と、数字と、蜘蛛の巣みたいなやつと、スキルの名前だった。左側に大きな蜘蛛の巣があって、右側に名前とレベルの数字があって、その下にスキルの名前が書いてあった。
蜘蛛の巣の中にも小さい蜘蛛の巣があって、それがぼくの今のステータスらしい。一ヶ所だけちょっと尖ってるから、多分ここが魔力なんだろうな。
レベルは5だった。魔力が高いし、多分高い方だと思う。
スキルもあった。魔力が多くても恩寵がない時もあるって聞いてたから、ちょっとホッとした。あって良かった。
そうやっていろいろ確認してると、父さまから呼びかけられた。
「どうだいアル」
「あっ、はい。スキル、ちゃんとありました」
「そうか! それは良かったね。じゃあ次の子に代わってあげなさい。もう部屋に戻ってもいいから」
「はい」
「スキルを使うならミーナが見ている時にしなさいね」
「わかりました」
「またあとでね」
「はぁい」
ぼくは踏み台から降りて次の子に代わって、そのまま部屋を出た。父さまが言った通りスキルを早く使ってみたかったからだ。
いつの間にか後ろを歩いていたミーナが話しかけてきた。
「アル様、スキルを使ってみるつもりですか?」
「うん。だからこのまま部屋に戻ろうと思って」
「だったら裏庭に行きませんか? 火とか出るかもしれませんし」
「うわっ、ほんとだ。じゃあそっちに行こう」
ミーナはぼく付きのメイドさんなんだけど、前は冒険者をやってたらしい。おばあさまとも一緒に冒険したことがあるんだって。でも冒険で失敗しちゃって、それでおばあさまを頼ってうちに来たって言ってた。
ぼくたちは階段を上がるところだったのをやめて、裏庭に行く方の廊下に向かった。裏庭っていうのは練兵場のことなんだけど、みんな裏庭って呼んでるからぼくも裏庭って言ってる。
裏庭では兵隊の人たちが何人か訓練してたけど、ぼくがスキルを使うってミーナが言ったら端っこに
スキルの使い方はさっきステータスを確認したときにわかったから、大丈夫なはず。念の為ミーナにも確認したから、大丈夫、大丈夫。
大きく息を吸い込んで、スキルの名前を声に出した。
「【ドッペルゲンガー】」
体から何かが吸われるみたいな感じがして、立ってられなくなって、目の前が真っ暗になった。
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