プラモデル。
@DojoKota
第1話
私には、プラモデル「の似合う夜が欲しい」呟いた側から流星である。ひゅーるる、ひゅーるると流星に切り裂かれた雲が八つ裂きである。かわいそうかもしれない。阿鼻叫喚。激痛にうめくようにこだましているのであった。
右を見て左を見たそしたら右があり左があった。ゆらゆらとゆれている。右と左が並んでおりゆらゆらと並木道の(帆影の)ように揺れていた。いつも通りの光景に、目の裏に焼きついている光景とぴったりと付合する私たちだけの帰り道であった。毅くんが笑った。笑っているのであった。呵呵大笑。笑っているのであるかわからないが、大地がさけるほどの音量が、鳴り響いた。
「なに笑っとるんやねん」と私の声が鳴らした。風鈴のようであった。ちりりんちりりん。風が吹いていないのに風鈴が鳴っているとしたら地震だろうか。皆目見当がつかない。
私は、その頃路上でHegelを読む生活をしていた。困ったことDeutch語だった。Deutch語が広がっていた。臍の緒を中心に辺りに四方八方である。それを読むコギャル。それが私であった。しかし、それは私Aであった。私Bは綿菓子を食べている。
「ちょっと悲しくて」と毅くんがゆうた。
「へえ、そがいなこともあるんやね」疎外または阻害である。HegelからMarxが生まれたらシキと思シキだった。わからない。私は考えていた。路上で。橋の上だった。髪の毛が、私の髪の毛が風の上で踊っている。レコードの針とレコードの円盤をいつも携えているおじさんが、横断歩道の真ん中で。
「なので笑っているようです」と毅くんが説明をくれてやるのであった。その説明は、よくわからんかった。
学校が終わった。
帰り道を歩いた。
帰り道がぐねぐねしていた。しかし、そのぐねぐねに振り落とされないように地に足ついてあるいていた。小学生的である私と毅くんとであった。なんかおもろいことないねん?
「なんかおもろいこと内燃機関車」と私でもないし毅くんでもないけれども二人の間にぷっかりと浮かんでいた口が呟いた。口だけが浮かんでおりまして、そこから声が漏れてくる。しかし、私と毅くんとがやや距離をとるとその口はぽかーんとしてしまい消滅する。だいたいまあ人一人分も通れんやろという距離感の
ちづまりがある時に限り口が生えてきて、私がしゃべりそうでもあり毅くんがしゃべりそうでもあることをしゃべるという現象が、なぜかしらないけれど、生まれた時からよくあった。
互いに異なる母の胎の中で、その胎と胎とが満員電車などで擦れ合うような時はいつも、ぽっかりと二つの間に口が開いた。「もうすぐ生まれますねん」とその口は私と毅くんのRussell Einstein共同平和宣言みたい共同宣言的に連帯保証人よりつよいつながりでもって、言葉を、つぶやいて、それが結構有言実行または有言実現とかですごいのだ。
ウルトラマンがいた。デカかった。こわいなあ、と思ったりした。と思ったら、京都タワーの見間違いやったわ。ああメガネメガネメガネかけんとすごくいろいろウルトラマンになるなあ、と思ってしまう今日この頃であるけれども、私は毅くんと一緒に、歩いておったわ。
「つっても、わからんし、しらんわ。なんもない。おもろいことはなんもない」と毅くんが呟いた。
ここで物語は唐突に終わる。
女がやってきていた。女だった。女は、すごく、ひどいことを計画していたのであった。ようはしらんけれども。
五、六人殺した。女が五、六人殺したのだ。
私は、びっくりしている。毅くんを呼びにやろうとしている。しかし、私の目の前で、なんか知らんけど人が死んでおり、それは女がナイフなんかを振り回して滅多刺しにしているからであった。
バスの車内が血まみれだ。
運転手がびっくりしている。
私は共感している。
びっくりするよもう。みーとぅー。
車内は結構空いており観光客がちらほらおるけれども老若男女。その集団の平均年齢みたいな私の年齢であるが、髪の長い女がおりまして、その子が旧にナイフを取り出して振り回したものですから、人が死んだんや。ひぇー。
「た、た、毅くん」と私は思った。
毅くんはその場にはいなかった。
というのも、別れて私は一人でバスに乗り込んでみたかったからだ。毅くんはバス停で一人、取り残されていてバスが移動していたのだ。
「た、た、毅くん」と私は呟いて。「助けて」と付け加えた。
私の前にぎらぎらのナイフがひらりひらりと振り回されていた。ひぇー。
私の悲鳴が心のどこかに響き渡ったのだろうか。バス停に突っ立っていた毅くんがすごい勢いで走り始めた。道路を走っているバスに向かって、すごい速度で追いかけ始めた。
「い、い、今」と毅くんはしゃべる余裕さえあるらしい。「助けに行くから」
間に合うかな、と私は思った。
暗転。
次の場面に移動する。
プラモデル。 @DojoKota
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