第17話 少年性愛者

秋を過ぎ、冬を迎えると

街は赤と緑のネオンに照らされる

ライトアップされた並木道を見ていると

私に歩み寄る人影があった

「玲さん…」

「こんばんは、今おかえりですか?」

にこやかに話しかける玲と談笑する

京都旅行のあと夏月が土産に

菓子とストラップをくれた事

最近は少しずつではあるが

会話が増えつつある事を教えてくれた


ふと、視線を感じて並木道の向こう側

人々の雑踏の奥に目を向ける

「あ…」

かすれた声がもれる

夜の闇の中にあっても白く光る髪、

赤い瞳が私を見て笑う


「奈子、夏の展示会なに描くか決まった?」

大学に入って2年目の初夏この時期になると

毎年夏に開催される学生作品の展示会の

話題で持ち切りになる

晃と私も例にもれず最近は

この話題ばかりになっている

まあ、私が描くものは決まっているのだか…

いつもの如くニヤリと笑って答える

「少年!」

「だろうな…」

呆れた顔で呆れた様に返す

わかって居るのならこの何十回と繰り返した

会話に意味は有るのだろうか

「俺は将来お前が犯罪者として

ニュースに載らない事を祈っているよ…」

何度も言われた言葉に

ニヤリとした笑顔のまま返す

「わかってないねー晃、

触れる事が許されないからこそ

その神聖さと儚さが保たれるのだよ」

変わらず呆れた顔の晃に続ける


「私は【少年性を愛している】のだよ」

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