第9話(番外)芽生える想い

奈子さんと別れて帰路に着く

手にはコンビニで買った夜ご飯

まだ当分手料理は振る舞えそうにない


家に帰るとリビングのソファーに夏月が居る

いつぶりかの光景に嬉しくなる

「…おかえり」

奈子さんがいた時より小さな声で言う

「ただいま」

応えてから買ってきた夕飯を温めて机に並べる

いただきますの声が重なるも

話しかけることは出来ずに

黙々とご飯を口に運ぶ


ふと、奈子さんの事を思い出す

僕の名前を呼ぶ彼女の声に安心して

年甲斐もなく涙を流してしまった

「奈子さん、いい人だね」

恥ずかしさで夏月に話しを振る

「面倒見が良くて優しくて、ほんと…」

「ダメだよ」

止まらない口を夏月が遮る

「奈子は、ダメ」

夏月がまっすぐに僕を見て言う

そのまま食事を終え自室に帰ってしまう

「芽生える想いに、年齢は関係ないか…」

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