第4話 真夜中のオオカミ少年

真夜中の公園、コンビニから家に帰る道で

視界の端に小さな人影が映った

キィキィと錆びれたブランコを鳴らしている

見ていると目深にかぶったフードの隙間から

目が合った


「...!!」

心臓がどくりと脈打つ


「あ、えっと大丈夫?こんな時間に1人で」

数歩近ずいて呼びかける

顔こそはっきりとは見えないものの

体格から翔や良太郎より少し上くらいだろう

「おれ、18だから」

予想外の回答に目を丸くする

「えっ?そうなの?」

思わず驚きの声をあげるとフッと笑う

「なわけないじゃん」

まるで玩具を見つけた猫のように

楽しげな顔で立ち上がる

やはり翔と大差ない体格に少し安堵する


いつも制服を着ている2人とは異なり

オーバーサイズのカジュアルな服に

所々シルバーのアクセサリーが光る

目線が近づきフードの下の顔が

月明かりに照らされる


伸びた前髪から覗く猫の様な目は

赤色に思えるほど明るい茶色をしていて

端正な顔立ちと共に

夜の公園には異質に思えた


「えっと中学生かな?高校生?」

無言で見られているのがいたたまれなくなり

改めて質問をしてみる

「小学生」

短くからかうように応える

「え?本当に?」

またフッと笑い背中を向ける

「え、ちょっとどこ行くの?」

「家、帰る」

振り返らないまま手をひらひらと振り

夜の闇に溶けて行く

どこか寂しそうなその背中から

いつまでも目が離せないで居た

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