関係
アラームにセットした曲は嫌いになると言うが、キリンジのエイリアンズを今だに嫌いにはなれない。
あれだけ酔っていたのにアラームだけはかけ忘れないと言う事実が10割理性を飛ばしたわけではない事を知らせる。
朝、少しの気怠さと隣にいる女との記憶と二日酔いで吐きそうになる。
「おはよ、寝顔可愛かったよ」
「おはよう、ちょっと外の空気吸ってくるね」
この空間から少しでも早く抜け出したくて、好きでもないタバコを吸いに外に出た。
エアコンのせいか昨日の酒のせいか口の中に水分がなく乾いた口の中に乾いた苦い煙が充満していく。
1月の朝、服を着ていると言うのに肌を差す冷たい風が、恋人にフラれ、酔った勢いで女友達に手を出した自分をあざわっているかのようだった。
「ただいま、すぐ支度して出るね」
「もう少しゆっくりしていけばいいのに」
「今日も予定があるんだよ」
予定なんてあるわけもなく、ただ、この場から少しでも遠くに行きたかっただけだった。
「女の子と遊ぶの?」
やめろ、その表情を僕に向けるな。吐き気と嫌悪感、罪悪感。色々な感情に押し殺されそうになる。
「そんなわけないじゃん」
「そっか」
少し安堵した表情と笑みを浮かべた彼女を横目にすぐに家を出た。
雨が降りそうなくらいどんよりとした空模様に危機感を覚え小走りで家に帰る。
ふと、あの女の言葉と元カノの言葉が重なった。女の子と遊ぶの?なんて好きな男にしか言わないセリフだと思っていた。ただ、一晩共にしただけ。ただ、体を一回重ねただけ。男女の友情はすぐに崩れると言ったが、どちらかが好意を持った時点でその関係は崩れてしまう。
遊ぶわけがない、だって僕に女の子の友達なんていないのだから。
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