第十七話
まったりモードの私たちに、後ろから声がかけられた。詩音が、今まで見たこともない不機嫌な顔で振り向いた。
「蓮華(れんげ)。何か用?」
「え?蓮華さんって…」
「そ。最初期で辞めちゃったメンバーだよ。まさかあんたたちがこんなに伸びるなんて思わなかったんだ〜。だから詩音に復帰させてもらおうと思って度々連絡してたんだよね〜」
蓮華さんとは声のやり取りをしただけで、実際に会うのは初めてだが、自分のルックスに自信があるのだろう。背は160cmあるかないかだが、成人済みらしいが、確かに可愛らしい顔立ちと声をしている。顔出しNGのうちのサークルでは自分の武器が封じられると思って脱退しただろうに、再生数が取れるようになってから擦り寄ってくるなんて、面の皮が厚すぎる。
「蓮華。あんたがいなくても私たちはやれてるの。それに私たちはただの趣味サーだからさ。お金が欲しいとかさ、自分のSNSに誘導してフォロワー稼ぐとかさ、そんな目的で使って欲しくないんだよね。純粋に音楽だけ楽しみたいの、私は」
人を揶揄うことが大好きな詩音だが、音楽に対しては割と潔癖だ。承認欲求を満たしたいだけの人とは一緒にやりたくないのだろう。
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