第十六話

「モンバーバラみたい」


「その例えは、ドラクエ4やったことある人しか分からないだろ」


 やってきたレストランは、ショーレストランという形式のレストランだ。ショーを楽しみながらご飯が食べられるそうだ。なんだかウキウキするね。


「何にするー?」


「僕はこのお肉のやつと、チョコっぽいケーキ」


「私は、魚にする。何このドレスケーキって。これも頼んでみよっかな」


「私は二人から少しずつ貰おうかな…痛い雪菜、痛い。私はシチューにする。みんなでシェアしよ?」


 詩音を分からせつつ、注文していく。少し待って注文した料理に舌鼓を打っていると、ショーが始まった。


「なんかお姉さん出てきた!モンバーバラ感!」


「凛音はドラクエ好きだねぇ」


 ドレスを着たお姉さんが出てきて踊りだした。ショーレストランらしく華やかだ。


「ステージで踊ってくれる方はいらっしゃいませんかぁ!」


 と、司会のお兄さんが一緒に踊る観客を募集している。これも体験型なんだ。へぇーと感心していると横から伸びる手。


「この子が踊りまぁーす!」


 手を掴まれ、上に上げさせせられた。おのれ詩音!仕返しだ!


「この人と一緒に踊りまーす!」


 詩音の腕をがっちりホールドし、にっこり詩音に向かって微笑む。


「じゃあこちらへどうぞー!」 


 その後、二人で真っ赤な顔で踊った。


 その後、謎解きアトラクションなどもこなしていき、夕方になった。そろそろ帰りの時間だ。


「んー!楽しかったぁ!でも全部は回りきれなかったなぁ」


「まぁまた来ればいいでしょ。そんな遠いわけでもないんだし」


 背伸びをしてコリをほぐしていく。最初の切り裂き魔はだめだったけど、それ以外は楽しめたので、また来たいと思った。


「また、霧の都に行こうねぇ」


「行かないよ」


 わざとねっとりとした言い方をする詩音。しばらくはこのネタで詩音に弄られるなぁと暗澹たる気持ちになった。


「こんなところで、会うなんて偶然だねぇ。詩音」

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