第十三話
前話が単なる最近読んだ本の紹介になっていたため、もう一話投稿いたします…
凛音は男の子ではあるが、男の娘であるため、男性にナンパなどされるのだろう。私も凛音自身に言われるまで男性だと気づかなかったくらいだし。
「私の連れだ。申し訳ないが、引いてくれ」
凛音の元まで歩を進め、手を取って私の胸元まで引き寄せる。
「凛音。大丈夫だった?」
「う、うん。大丈夫だよ。ありがとう。雪菜」
身長175cmの私の胸元にすっぽり収まる165cmの凛音。可愛い。
「もう行こう。とも言えないな。まだ詩音が来ていないから」
ため息を吐きながら、ナンパ男を睥睨する。ナンパ男もこちらを睨みつけている。
「俺が先にその子と話してたんだけど」
「私はこの子と待ち合わせしてたの。どっちが先かで言えばこちらが先よ」
一人の男性のために争う女と男。いいね。新時代の幕開けを感じるよ。
「てか、あんたもめっちゃ美人じゃん」
「は?」
この男は一体何を言っているのだろうか。節操がないにも程がある。
「私もこの子も、あんたに興味ないんだけど。どっか行ってくれない?」
「興味なくてもいいからさ。これから持ってくれればいいわけだし」
「待ち合わせをしてるって言ったでしょ。これから用があるの。あんたと遊んでる暇なんてないわけ」
「じゃあ連絡先だけでもいいからさ。連絡先だけもらえたら潔く立ち去るからさ」
「嫌。凛音、詩音に連絡して。待ち合わせ場所変えるよ。このまま交番まで行こう」
駅近くだったため交番が近くにあった。そのことが幸いしてか、この脅しがうまく決まったようだ。舌打ちをして男は去っていった。
「はぁ。災難だったね、凛音。あなた、可愛いのだから気をつけてね」
「ありがとう。雪菜は格好良くて素敵だね。とっても助かったよ。ふふ、男の僕が女の子の雪菜にナンパから助けてもらうなんて面白いね」
「面白いかもしれないけど、こっちは大変だったんだけど…」
あんまり深刻そうに捉えておらず、くすくす笑う凛音に毒気を抜かれる。
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