第六話
紫と橙が混じり合う空の下、公園のベンチに凛音と詩音を座らせた。ベンチは3人で座れないので私は立ったまま話を聞くことにする。後輩の鏡である。自画自賛。
「凛音。あなたは男の子だというのだけれど、それは心が男の子ということ?」
首を横に振られる。
「違うよ。僕は生物学的にも男で、性自認も男なんだ。ただ、可愛いものが好きで、可愛いお洋服を着たり、メイクしたりすると、女装せざるを得なかったんだ。」
目を伏せ、下を向きながら、凛音はそう言った。普段の様子とのギャップが大きくて心が痛んだ。
「オフ会を最初に開いた時、皆に言おうと思ったんだけど、皆があまりに違和感なく僕を女の子として扱ってくれたから、言いづらくなっちゃって。今まで言えなくてズルズルここまで来ちゃった。ごめんね。」
「言いづらいのはわかるわ。私たちも、あなたの見た目だけで女の子だと決めつけていたのだから、私たちにも非があるわ。」
こんな可愛い娘を男の子だなんて思えませんわ。という心の声に蓋をし、続きを促した。
「僕は男で、恋愛対象も普通に女性なんだ。だからこれからも2人と一緒にしてもいいのかなって、ずっと思っていたんだ。こんな僕なんだけど、これからも今まで通りに、一緒に活動してくないかな?」
不安げな表情でこちらを見る凛音。私は彼女、いや彼の不安を吹き飛ばすように笑顔を作った。
「当然。あなたが男だろうと、大切な仲間よ。これからもよろしく。」
「ごめんね。雪菜、凛音。もう少し話をさせて。」
詩音の言葉に思わず、彼女に勢いよく視線をぶつけた。
「凛音が男性ということは分かったよ。要は、女装趣味の男性ってことなんでしょ。女装趣味を否定するつもりはないよ。ただ、私と雪菜を性的な目で見てるかってところが気になるな。どうなの?」
「それは…見ています。」
「見てるんだ。雪菜は美人だしスタイルもいいしね。男の子ならそんな目で見ちゃうよね。」
恥ずかしい会話を目の前でされ、顔が赤くなるが、凛音と詩音の仲を取りもたなければならないと思い口を開こうとしたその時、
「実は、私って同性愛者なんだ。」
詩音もぶっ込んできた。
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