記録③ 日本人傭兵部隊〈鋼鉄の野獣〉百人隊長──オッシュ
王国軍戦報 現地からの声 〈テルミドールの戦い〉での特別奨励兵士インタビュー
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先に行われた〈ブルボン王国軍〉と〈ジャコバン共和国軍〉との戦い、〈テルミドールの戦い〉で、我が〈ブルボン王国軍〉と共に戦う日本人傭兵部隊〈
そんな日本人傭兵部隊を率いる軍歴20年以上のキャリアを持つベテラン、〈
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まずは〈テルミドールの戦い〉について聞かせてください。
はい、あの戦いでは〈ジャコバン共和国軍〉を最前線で受け止めました。共和国軍の 攻勢は苛烈で、その勢いに我が部隊は押され気味でしたが、何とか踏みとどまり、味方と戦線を維持することができました。
厳しい戦いだったとは思いますが、まさに納得の、特別奨励に相応しい戦いぶりでした。
一般的に傭兵部隊は支払われた金額分しか働かず当てにならないと言われますが、あなたたち日本人傭兵部隊はどんな仕事でも手を抜かず、どんな厳しい環境でも裏切らず戦い抜くと以前から評判でした。異世界転生者における日本人は今や国内外で一種のブランドともなっています。その仕事観や規律の高さなどについて教えてください。
まず、自分自身がよき兵士であることを意識しています。次に、仲間を信頼し、仲間が信頼してくれるような振る舞いを心がけています。訓練を通して、よき兵士としての価値観を共有できると思っていますので、訓練は妥協せず、とにかく徹底的に行っています。そうすることで、戦場でも規律を失わず戦い抜くことができているのだと思います。
なるほど。日頃の訓練の重要性は誰もが意識しているでしょうが、それを日々実行することが〈
他の部隊ではあまり聞きませんが、転生してきたばかりの日本人というのは戦場に変な幻想を持っています。例えば、自分は一騎当千の猛将であるとか、古臭い戦列なんて組まず5人くらいのパーティを組んで戦った方が効率的だとか、剣なんて練習しなくても使えるだとか、弓は狙えば当たるとか、ステータスがどうだリザルトがどうだとか……。まぁ、そんなことを喚く奴らはほぼ行軍すらままならないので、まずそいつらを処刑します。この時点で声がデカいだけの連中は選別できます。
次に、力はあるが性根が腐ったごろつきやチンピラは身内でグループを作って反抗しようとするので、そこでまた処刑します。体力的に付いてこれない者は訓練中に死んでもらいますし、精神的に付いてこれない者は後方作業員などに配置転換します。脱落者とはちょっと違うかもしれませんが、これが大まかなやり方です。
いきなり処刑はちょっとやりすぎなのでは?
まず、切れば血が流れ、血が流れれば死ぬということを新兵には理解してもらわねばなりません。それに、よき兵士というのは、よき夫、よき父親、よき市民がなれるものです。それ以外は戦場では役に立ちません。見せしめとしてなら役に立ちますがね(笑)。
やりすぎと言いましたが、ここまでやってるからこそ、我が〈
よき兵士の模範たる薫陶をいただきまして、ありがとうございます。〈テルミドールの戦い〉の戦功やこれまでのキャリアから、軍内ではあなたを日本人傭兵部隊の指揮だけでなくより多くを指揮できる千人隊長に押す声もありますが、今後について考えていることがあれば教えてください。
千人隊長は私も目標としているところではありますし、もし任命していただけるなら光栄です。将来的には、日本人転生者で千人の部隊を編制できればとも考えています。今はまだ定員百人を満たすのが精いっぱいですが、多くの日本人転生者が兵士を目指し、そして〈
目標は大きく、ですね。少し質問を変えますが、オッシュさんが〈ブルボン王国〉の兵士を志したきっかけなどはありますか?
何でしょう。20年も前のことなのでほとんど忘れてますが、戦いが好きだったからなんじゃないですかね。もちろんしんどいときもありましたが、結果的には自分に向いていたとは思っています。
まさに生粋の武人ですね。そんなオッシュさんはすでに5年以上の軍歴で〈ブルボン王国〉市民権は取得済と存じています。王国市民として市井で生きる選択もあると思いますが、こうして20年以上軍人を続ける理由などがあれば教えてください。
まずは生活のためです。今は家族もありますし、〈
ありがとうございます。最後に、この戦報を読む〈ブルボン王国〉の将兵、そして〈ブルボン王国〉の市民にメッセージをお願いします。
みなさんもご存じとは思いますが、〈ブルボン王国〉の日本人転生者は今も増加が続いています。ですが、日本人はどんな労働にも慣れているので、使っていただければ今後も伸びしろは無限大です。
それに加え、我が〈
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