第4話
「それなら傷が深くなる前に離れたほうがいいんじゃないかなって、」
誰にも相談せずに一人で溜め込んで…今までしんどかったよね。
私は優奈の手を握りしめた。
「まず、言いたいことは沢山あるけど…私達四人とも幼なじみでずっと一緒にいて。好きなこともよく行く場所も、他の人が知らない事もなんでも知ってる。でしょ?」
私は優奈の目を見つめながら、優しく言った。
「うん、」
優奈は小さく頷いた。
「だから、その分悪いところも全部知ってる。だけど、その上で裕也は優奈を選んだんだよ」
私は優奈の肩を軽く叩いた。
「それはそうだけど、」
優奈は少し戸惑った表情を見せた。
「いい?優奈の悪いところは自分に自信が無さすぎるところだよ。優しくて可愛くて、天使みたいな子、裕也にしか似合わないよ、だからもっと自信もって」
裕也には優奈しか似合わない。
もしも外野がほざくなら、そんな奴ら私が滅多切りにしてやる。
「そうかな....」
優奈は少し涙ぐんだ。
「そうだよ、私が一度でも優奈に嘘ついた事ある?」
私は優しく微笑んだ。
「ない....」
優奈は涙を拭いながら答えた。
「でしょ?」
「私..裕也と話し合う」
優奈は決意を固めたように言った。
「そうしな」
これからはなんでも一人で抱え込まずに、裕也と共に支え合って生きていってほしい。
ちょっと寂しいけど、私がやたらと干渉するのもよくない。
子供の巣立ちを見送る母親の気持ちって…こんな感じなのかな。
「ありがとう梨華!」
そう言って優奈は私に抱きついた。
「いいよ、ほら行っておいで」
私は優奈を見送りながら微笑んだ。
「うん!」
優奈の背中を見て、私もあんな恋ができるかな...
なんて、柄にもなく考えてしまった。
玄関が開く音がしたから優奈かと思って
「優奈どうしたの?忘れ物でもした?」
って聞いたのに返事がない。
まさか、泥棒とか?
とりあえず、近くに置いてあったクイック○○イパーを手に取って対戦準備を...
「よっ」
「瑞稀!?よ、じゃないよ。ビックリしたんだから!」
私は驚きと安堵が入り混じった声を上げた。
「それ」
瑞稀はそう言って私の武器を指さして笑ってきた。
「これは泥棒かと思ったから、武器として…」
私はクイック○○イパーを握りしめながら言い訳をした。
「そんなの武器になるわけないだろ」
瑞稀は笑って馬鹿にしてきた。
「なっ、クイック○○イパーをなめるなよ…!」
「だからさ、」
私は瑞稀の言葉の続きを待った。
「…そう言う時は俺を呼べよ」
瑞稀の言葉に、一瞬何を言っているのか理解できなかった。
「…へ?」
「…お前が呼んだらどこにいたって駆けつけてやるから」
珍しく真剣な表情で言うから、ドキッとしてしまった。
瑞稀の真剣な眼差しに、胸が高鳴った。
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