第3話
私も知らない間に寝ちゃってたみたいで、起きたら朝だった。
隣で寝ている優奈を見て、昨夜のことを思い出し、少し心配になった。
大したことじゃなかったらいいんだけど…
「梨華、?おはよ、」
優奈の声に振り向くと、彼女はまだ少しぼんやりしているようだった。
「おはよう。はいお水飲んで。お酒たくさん飲んでたみたいだったけど大丈夫?気持ち悪くない?」
私は優奈に水を差し出しながら、優しく声をかけた。
「うん、大丈夫ありがとう」
優奈は水を飲みながら、少し微笑んだ。
「どういたしまして」
優奈の顔を見つめ、少し安心した。
「迷惑かけてごめんね」
優奈は申し訳なさそうに言った。
「別に迷惑なんかじゃないよ。だけど、こんな所で寝て風邪ひいたらどうするの?今風邪なんか引いたら笑い事じゃ済まされないんだからね」
私は少し厳しい口調で言った。
「うぅ、ごめんなさい」
優奈はしょんぼりとした表情を見せた。
昔からこの顔にはめっぽう弱いんだよなぁ。
「…怒るのはこの辺にして、何があったか教えて?」
私は優しく問いかけた。
「…え?」
優奈は驚いたように私を見た。
「裕也となんかあったんでしょ?喧嘩でもしたの?」
私は優奈の目を見つめながら、真剣に尋ねた。
でも、優奈も裕也もすごく優しいから喧嘩なんて…想像できない。
お互い言い争いしてるところも見たことないし。
マリッジブルーってやつなのかな。
「違うよ、喧嘩なんてしてない」
優奈は首を振った。
「じゃあ何で?」
私はさらに問い詰めた。
喧嘩じゃないなら一体何が、
「うう、実は...」
優奈は言い淀んだ。
「はあ!?結婚したくない!?」
私は驚いて声を上げた。
まさかそんな爆弾発言するとは思ってもいなかった。
なんで、どうして。
裕也のこと好きじゃなくなったとか?
いやまさか、
「ちょっ、声が大きいよ」
優奈は慌てて私を制した。
「ごめんごめん。だけど、なんでよりによって結婚式の一週間前に言うの。理由は?誰かに酷いことされたの?何か言われた?」
心配で、思わず質問攻めしてしまった。
「違うから落ち着いて。私が自信ないだけなの」
そう言うと、優奈はため息をついた。
「自信が無い?」
何の自信…?
「うん、裕也は仕事も人付き合いも良くてなんでも出来るでしょ?それなのに私は...。そんな私に呆れていつか私から離れて言っちゃうんじゃないかって考えたら怖くて、」
「優奈…」
優奈の言葉に、胸が痛んだ。
優奈がそんなふうに思ってたなんて。
親友なのに、気づいてあげられなかった。
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