第2話
「いつの間に別れたのか永遠の謎なんだよね」
確かに…
私が聞いても瑞稀は、何も話してくれなかった。
「いつの間にか別れてたし、瑞稀も教えてくれなかったもんね」
私は少し寂しさを感じた。
瑞稀はいつも自分のことを進んで話そうとしなかった。
「なんであんな子と付き合ったんだろうねぇ」
滅多に人の悪口を言わない優奈でさえ佳代ちゃんの事をよく思ってなかった。
会社の社長の娘で好き勝手してるイメージがあった。
「噂と違っていい子だったのかもよ」
自分で言っておきながら面白くなって、つい笑ってしまった。
「もう、思ってもないこと言って」
「瑞稀って見る目ないのかもね」
変な女に引っかかって多額の借金背負わされたらどうしよう。
なんて。少し酔ってきたからか、変な想像をしてしまった。
「うん、だからね、私あの時思ったの!やっぱり瑞稀には梨華しかいないって」
もう。優奈ったら。
「だから、なんでそうなるのよ…」
私は苦笑いしながら、彼女の顔を見た。
「梨華が付き合う人は瑞稀しか認めないんだから!」
優奈の真剣な表情に、私は少し戸惑った。
彼女は本気でそう思っているのかもしれない。
私にも、瑞稀もそんな気ないのに。
私はため息をつきながら、優奈の肩を軽く叩いた。
「私たちは、ほんとにただの友達だから。期待しないでね」
「だから梨華も変な男に捕まったりしたらダメなんだからね!」
そう言いながら私の手を握りしめた。
答えになってないし。
私の話ちゃんと聞いてよ…って、
「ちょっと優奈、顔赤いけど…酔ってるでしょ」
優奈の顔が真っ赤で、私は心配になった。
「酔ってないよ〜、梨華〜」
優奈の言葉が少し滑稽に聞こえた。
「酔ってるじゃん、」
確かにお酒を飲むペースは早いとは思ってたけど、優奈は弱い方じゃなかったから大丈夫だと思ったのに。
「ん〜」
優奈が寝転がって体制を整え始めた。
もしかしてここで寝ようとしてる…?
「ちょっと、ここで寝ないでよ、」
「んふふ」
駄目だ。会話にならない。
私は頭を抱えた。
「明日仕事は?」
「明日は土曜日だよ〜」
酔っぱらいの言うことなんて信じられるか!と思ってカレンダー見たけど、今日は間違いなく金曜日だった。シラフの人間より酔っ払いの方が正しいなんて。
「疑ってごめん。じゃあせめてベットで寝てよ、ここで寝たら風邪ひくよ」
「大丈夫〜」
「ちょ、」
あー、寝ちゃった。
私は優奈の寝顔を見つめながら、今日の会話を振り返った。
どうして結婚の話ばかり…
これは拓也となんかあったな。
優奈の表情や言葉の端々に、何か深い悩みが隠れているように感じた。
明日また詳しい話を聞いてみよう。
私は優奈に毛布をかけ、そっとため息をついた。
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