18話 っっぱ、米ですよ!!!


 うちの住人は基本子供だ。なので、今後のことを考えて栄養たっぷりの奴が良いだろう。となると、どうするかな……。

 何か……子供が喜びそうで、栄養がいっぱい摂れそうな。


「……あぁ、アレなんか良いかもな。行けるか?」


 DPショップで献立に必要なものをそれぞれ探す。


「ん~、きびぃな。ちょっくら一狩りしてくるか」


 俺が考えた献立を作るにはDPが足りないと判明したので、『領地内転移』を使用して外に出る。今じゃこの山一帯がまるっと領地になってるんだから、この山に住む魔物なら、わざわざ領地まで誘き寄せずともその場で殺して即時調達可能なのだ。故に素早くDPを確保できる。目標DPは2000だ。

 今回はスピード命だからな、ステゴロではなく『圏境』を存分に活かして見敵暗殺で行こう。RTAスタートだ。


 


◇◇◇




 DPの確保が終了した。クリアタイムは5分。

 全敵の暗殺に成功、『圏境』の感覚にも慣れたものだ。今回は敵に銃口を、剣先を向けながらでも『圏境』を保ち続けることが出来た。いや、単に目的が敵を殺すことではなく、うちの娘たちに料理を振舞うことだったからかもしれない。そもそも戦う頭になっていなかったと言えば、その通りだった。これでは闘気も殺気も出ようはずがないか。でも……その内必ず、極めてみせる。

 『圏境』は非常に有用な技だ。攻撃しながらでも保ち続けることが出来れば、圧倒的優位な状態で戦いを進められる。

 狩った魔物の数は50匹。オークの村のようなものを見かけたので、これ幸いとあの時買った特殊効果を使って閉じ込め、遠隔から全て魔力弾による狙撃で狩らせてもらった。めちゃくちゃ強い戦法に思えるが、これも所詮ダンジョンの中でしか使えない代物。クロムウェル攻略には役立たないだろう。

 まぁともかく、おかげで予定していたよりもかなり多くのDPを確保出来た。

 オークはクロが居たが故にエリアボスでこそなかったものの、この山の中では最も強力な種族なのである。故に獲得出来るDPもそれ相応に多いのだ。

 ちなみに成果は、


・15000DPを獲得し、所持DPが19000DPに上昇

・俺のレベルが4から10に上昇

・狙撃の熟練度が4に上昇

・武技『クイックトリガー』獲得


 こんな感じである。

 購入する内容は以下の通りだ。


・生活支援米10㎏(500DP)

・にんにく1㎏(30DP)

・業務用おろし生しょうがボトル一つ(200DP)

・ズッキーニ1㎏(20DP)

・茄子3㎏(60DP)

・食塩5㎏(8DP)

・玉ねぎ10㎏(50DP)

・鶏肉10㎏(60DP)

・パプリカ2㎏(50DP)

・かぼちゃ3つ(30DP)

・とうもろこし12本(50DP)

・ココナッツミルク400ml(8DP)

・トマト4㎏(60DP)

・カレールー甘口4㎏、激辛1㎏(80DP) 

・完全保存食料庫(小)(13000DP)


 合計14206DPのお買い物である。でも、多分これくらい買っておいて損はないだろう。完全保存食料庫を買ったのだから、食料が腐ることはないのだ。

 まぁ最も、小と名のつく通り保存できる量は多くない。けれど今回買った食料くらいなら詰め込める。だから問題はない。

 食堂のキッチンに備え付けてあるエプロンを身に着け、手を洗おうと思った所で気付く。どうやって使うんだこれ? と。見た目はごく普通の、前世で俺が使ってたような何処の家庭にでもありそうなキッチンなのだ。

 けれど蛇口を捻っても水は出ないし、コンロのつまみを捻っても火は出ない。元栓とかが締まってるのかと思って収納を覗き込んでみたが、それらしいものはない。どうなってんだ? これじゃ使えないじゃん。と少々イラッとした所で、そういえばここ異世界でしたねと思い出す。前世と同じようなキッチンの姿を見て、昔に戻ってしまっていたみたいだ。

 『解析』を発動する。使い方を理解するためだ。

 

「ほ~、なるほど。そういうことか」


 現在、俺の視界の先にあるのは石。いわゆる魔石という奴だ。

 コンロと炊飯器には赤い火の魔石、水道には青い水の魔石が使われている。こいつに使用する直前に魔力を流し込めば、後はつまみや蛇口の捻り具合で勢いや火力を調整出来る、ということである。

 道具の使い方を理解出来たなら、もう問題はない。早速流しにある水の魔石に魔力を流し込むと蛇口を捻り、備え付けのハンドソープで手を洗い準備はOK。


「っと、ルーに取り掛かる前に~」


 とりあえず炊飯器に洗った米をぶち込む。地球の炊飯器と同じように早炊きモードがあったので、それを押す。『解析』で視ても、ちゃんと20分前後で炊けると分かったので安心だ。


「さぁ~て、やりますか!」


 にんにくと生姜はみじん切り、他の材料は一口大にパパッと切っていく。

 次いでエプロンと同じく食堂に備え付けのデッカイ鍋を取り出し、これまた備え付けの油を引くと、ズッキーニと茄子を高温で炒め、6割ほど火が通ったところで、これまた備え付けの無数の皿に取り出す。

 鍋の温度を下げ新たに油を引く。中低温でにんにく、生姜を焦がさないように炒め香りを出すと、玉ねぎを加えて塩を少々ふり、玉ねぎがしんなりするまでババッと炒めていく。

 ここで鶏肉を入れて炒め、表面の色が変わって焼き目がついたらパプリカ、かぼちゃ、とうもろこしを加えて再び炒める。

 全体に油が回ったら、水を具がかぶる程度に加え、中火で煮込む。


「うっし! あっとっは……」


 かぼちゃに火が通ったのを確認出来たので、ココナッツミルクを加える。

 トマトと先に炒めておいたズッキーニ、茄子を加え入れ、カレールーをぶち込み暫く待つ。


「よっし!! うんうん、イイ感じじゃん!」


 ルーが出来上がった。米も炊けた。

 ならば後は盛り付けるのみ。皆を呼び、手伝ってもらう。


「と、言う訳で『栄養満点南国風カレー』だ!! かなりの量作ってあるから、遠慮せず食えよな!」


 そう言うと、皆息を飲んで頷いた。


「これが、カレー……なんだ。創哉の記憶で見たけど、実際に食べられるなんて……」

「いやいや奏ちゃん、主の記憶で見たんとはちょっと違うやろ。南国風とか言うとったで」

「南国って、確かハワイ? とかグアム? とか言う場所のことでしたよね? 奏お姉ちゃん。クロお姉ちゃん」

「うん。確か、そうだったと思う」

「おぉ、なんや海がキレイな観光地らしいで。ま! うちはキレイかどうかより、魚が居るんかが気になるけどのぅ」

「ふふっ、クロったら」


 わいわいがやがや。皆思い思いに、俺の作ったカレーに対して感想を述べている。


「さて、俺の身内たるもの飯前と飯後に欠かしちゃならん挨拶がある。分かるよな?」


 俺の言葉に、皆頷く。それに、よしと小さく呟くと頷き返し、両手を合わせた。


『いただきます!!』


 一斉に挨拶をして、食事が始まる。

 

「ん~、美味いっ!!!」


 実は俺の分だけ、激辛で作ってある。その為かなり辛い。だが、それが良い。昔から辛い料理が好きなのである。

 でも、何にせよ思うことは一つだ。


 っっぱ、米ですよ!!!


 もうジャスティスですよね。異世界に来て、米が食えるとは!! 最高! 俺は一心不乱にカレーをかき込むのだった。





今話の最終ステータス 

======================

名前:神崎創哉 16歳 男 レベル:10

種族:人間  

クラス:迷宮主ダンジョンマスター

 

CBP:3000/3000

筋力:450

耐久:180

敏捷:320

魔力:800

器用:650



能力:クラススキル『迷宮の支配者』

   …DPショップ,領地拡大,領域改変,領地内転移

    虚ろなる身体,万能翻訳,眷属化,解析



   称号スキル

   『転生者』『超シスコン』

   

   エクストラスキル

   『悪意感知』『直感』『家事全般』

   

   戦闘スキル

   『闘気術』『魔力放出』



   常用スキル

   『殺意の魔圧』



   武技

   『圏境』『硬気功』『クイックトリガー』



熟練度:芸術5,歌唱6,演奏6,格闘3,狙撃4

耐性:飲食不要,疲労無効,不老,痛み耐性Lv8,熱変動耐性Lv3 

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