15話 いや、なんかマジでクロの口調が移ってきちゃってんのよ


 クズ共を収容するための拷問部屋の設置が完了した。

 あんなクズ共の為に広く領地を割くのは嫌なので、30人ほどいるが全員一つの部屋で共同生活してもらうことにした。

 その方が例の拷問も頻繁に行われるだろう。地獄絵図でしかないのでこれ以上は考えないようにする。普通の拷問の方がよっぽど見てられる。


「ここも大きくなったねぇ、マスター君」

「相棒。あぁ、眷属が急に21人に増えちまった。どうしたものかと思ったが、どうにかなって良かった」

「ふふ! 僕も嬉しい限りだよ。このまま順調に行けばランクアップも視野に入るんじゃないかい?」

「あぁ、そうだな」


 ランクアップ。

 それは迷宮核ダンジョンコアの成長のことである。とりあえず直近のランクアップ条件としては、眷属の人数が50を超え、3エリア以上の領地を獲得する。ということになっている。

 そうすれば迷宮核ダンジョンコアが一段階成長し、ガチャやDPショップの必要費用が少々カットされ、CBPも大きく伸びるらしい。

 実際どの程度伸びるかは、まだ分からない。それは眷属や領地の質にもよるらしいのだ。


「それで? 服の生地は購入してリーリエちゃんに渡した。拷問部屋も完成して移送しクロが処置中。とりあえずすぐに対処したいことは済んだわけだけど、生活エリアはどうするんだい? まだ何も決まってないんだろ?」

「まぁな。でも、とりあえずこんな洞窟剥き出し状態からは脱出したいよなぁ〜」


 残るDPは43000。

 まだまだ色々と出来る。拷問部屋作りの為、地下に何も無い階層を追加したのだが、それにかかった費用が10000DP。つまり、階層追加=10000DPだ。結構広いので拷問部屋を作ってもまだまだお釣りがある。

 拷問部屋の為に割かれた地下空間はほんの10%ほど。まだまだ使える。けれど地下を今すぐどうこうするつもりはない。

 とりあえずは上層。俺らの生活区域だ。奴らのバックに居るであろう存在もその内ぶち込むつもりだしな。


「ま、とりあえずはこの椅子玉座っぽいし、ここを玉座の間にするか」


 玉座の間。

 部屋の設備を込々で一括購入出来る、魔法の温泉と同じタイプの設置アイテムだ。魔法の温泉と違い、更に規模が大きい設置アイテムなので分類としては『陣地』となっている。

 で、更に大規模な設置アイテムになると分類は『城』となる。

 これは購入に1000000DPが最低でもかかるので、とても手は届かない。けれど『陣地』なら必要DPは最低5000、玉座の間にかかるDPは12000だ。

 拷問部屋もこの『陣地』で最低の5000DPで購入した。だから拷問に必要になるような小道具なんかは既にあらかた揃っている。

 それよりよっぽどエグイ拷問を考案した娘がいるせいで、そこまで頻繁に使うことはなくなるかもしれないけど。

 ちなみに、例の娘はトゥワネットと言うらしい。この娘に関しては特別なスキルなんかは持ち合わせていなかった。当然のように『房中術』は持っていたけども。


 この玉座の間を、皆が集まる居間みたいなノリで使えばいいだろう。

 コアも今までのようにモロだしではなく、隠し扉の先に設置されるようになるらしいし、何より玉座の間を設置すると住人全員の耐久値が3割も上昇するのだ! 大幅な守りの強化になる。ぶっちゃけ買わない手はない。 


「あとは……キッチンとトイレも確実に必要だな。それから食堂だろ? あっ、DP尽きた。ここまでか。しょうがねぇ、こいつらは絶対必要だし、廊下とかが洞窟剥き出しなのはまた暫く我慢するか」


 とりあえず購入しよう。

 ちなみに人数が人数だし、トイレは4つ購入する。


「よし、OK。あとは設置するだけだな」


 何処にしよっかなぁ~。

 洞窟の中を適当にぶらつきながら、設置場所を考える。

 

「創哉~!」


 歩いていると、シルクのローブに身を包んだ奏が手を振りながら走ってきた。


「奏か。それは?」

「へ、あぁこれ? リーリエが作ってくれたの! 皆の分も完成したって!! すっごい早いよね! 見に行こ! 創哉を呼びに来たのよ!」

「そうだったのか。……あー、なんだ。似合ってるぞ」

「へ? あ、うん……。ありがとう。えへへ……」


 頬を掻き、はにかむ奏。可愛い。


「ほ、ほら! 行こっ!」


 照れて俺の手を引っ張り走り出しちゃう奏。可愛い。可愛い。


「可愛すぎんか?」 

「え、えぇっ? い、いきなりどうしちゃったの!? 恥ずかしいよぉ~///」

「照れてる姿もごっつかわええで奏ぇ~! あ……んんっ! いや、なんかマジでクロの口調が移ってきちゃってんのよ。だからその……無意識に、な? まぁ、ともかく! 俺もいい加減裸族を卒業したい! 行こう」


 そう言って、今度は俺が顔を赤くする奏の手を引き、リーリエ達がいる場所へと向かった。パスが繋がっているので互いの位置は把握出来るのだ。

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