不老不死の苦脳

死にたい。そう思っている人間は無数に存在するだろう。

だが俺に言わせてみれば、そんな奴らは本気で、心の底から死を願っているとはこれっぽっちも思えない。本気で死を願ったような奴らはもうとっくに死んでいるからだ。だから、口先だけで死にたいとほざく奴らは心底嫌いだ。


それに、どうやっても死ぬことのできない、まるで呪いにでもかかったような体を持った俺とは違って、死という選択肢があるそこらの人間が死にたいとほざくのは俺の心を苛立たせるからだ。


何度も死を願い、あらゆる方法で死のうとした。

溺死、焼死、飛び降りなど、想像できるような死に方はほとんど試した。だが、何をしても結局は元の体に戻っていた。しかも不老不死だからと言って痛みを感じないわけでも、恐怖心が欠如しているわけでもない為、死ぬ方法を試すたびに想像を絶するような苦痛と恐怖が襲ってくる。


だが最近は、もう死ぬことへの恐怖も欠如し、死ぬことが生きる目的とも言えるほどに無気力な人生を歩んでいた。


「死にてぇなぁ...」


夜、薄暗い街頭で照らされたベンチで一人呟く。

思わず薄い笑みがこぼれる。もう何度言ったかもわからないような言葉だ。言っても何も変わりはしないような言葉を吐いても虚しいだけなのに。


もしも、神という存在がいるのならば、死ぬ前にこう問いただしたい。


「俺を...なぜこの世界に生み出したんだ」

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